乱読の効果
私は仕事柄、流行っているもの、売れているものには関心がある。
中でも乱読は本。時流や時代を感じるものは買う。
先週、娘が「Deep love」を読んでいた。この本は携帯小説として若者に広がり、本になったものだ。「アユの物語」「ホスト」「レイナの運命」「パオの物語」とシリーズで出ていて、いずれも売れている。しかし、はっきりいって愚作だ。メールが原稿ということもあり、横書き文字で、稚拙な文章。たまたまどこにでもいる若者がはじめたメール小説がブレイクした、という感じだ。
内容も十七歳の援助交際、渋谷の遊んでいる子たちの姿、自殺、暴力、やくざ、麻薬、セックス、ホスト、ホステス、けだるさ、あきらめ・・・など、かなり暗い。普通の親がこの本を読んだら、すぐに取り上げるか怒って排除かもしれない。しかし、メール社会では親の知らないうちにこうした情報は、見つからずに広がっていく。
「へー、読書してるの?」たまたま私が聞いたので、「この本、売れてるの。今、流行ってて友達から借りた」といった。「何の本?」「・・・お母さんは知らないだろうけど、Deep loveっていうの・・・」ちょっと後ろめたいようだ。「そうDeep Love読んでるんだ。どれ?お母さん、ほかのをもってるよ」といったとたん、彼女はものすごい驚きの顔で奇声を発した。「うそーー?なんで?なんで?普通、親は読まないでしょう!」とケラケラ笑う。そのあと、よほど刺激だったのか、友人知人に携帯で、「あのさー、うちのお母さんがDeep loveもっててさぁ・・・」という調子だ。
しかし、このことがあって、この本を題材に、共通のテーマができた。普通、大人ができるだけそらしたいというテーマだらけの本である。子供に近づけたくないと思う内容だが、逆をいえば、排除しようとすればするほどしのびよる。学校から先日持ち帰ったプリントは、「暴走族に入る前に電話をして!」というものだった。確実に子供たちは危険と隣り合わせ。
だからこそ、ふたりで、この主人公をどう思うか、この携帯小説をどう思うのか、こういう暮らし方をどう感じるのか、といろいろ会話をした。いい機会がもてた。
彼女たちの読んでいる本を読んだおかげで、どうやら親近感と、共感を親に持ったようだ。
あれ以来、たびたび私たちは、この本の話題で、ディスカッションになる。そういう意味では乱読もたまには役に立つ。
でも、この掲示板を読んだ方へ。買うほどの本ではありません。読んでどうなるものでもない本です。メリットどころから心が辛くなるだけの本です。
ただ、こうした稚拙な文章、言葉だからこそ、多くのフツーの若者に広がるのでしょう。そういう社会勉強をする気で必要と思うのなら、立ち読みで十分です。
近く、映画化され、竹中直人なども出演するらしい。これが時代なのだろう。


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