会社と自分

講演会が終わったとき、ある会場で聴講の方に引き止められ「とっても元気が出ました。私は会社に勤めて10年。はたして自分はこれでいいのだろうか、と最近とても悩むので、辞めたいと思っています。第一、こんな気持ちで勤めていては、会社にも失礼だと思うのです」と。
人は進化と成長をするのが人生。周りの人が聞けば贅沢と思う環境にあっても、そこに何年もいる人は、「これでいいのだろか」と悩むのが人間そのものなのです。

ある勉強会で講師の方から聞いた話に、「マズローの五段階欲求の話と会社選びとの関係」というのがあった。アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、人間の欲求段階には五つに成長段階があるというもの。最初は、「生存欲求」(生理的な欲求、物欲、性欲など)、2つ目は「安全」の欲求。3つ目は「集団の欲求」(他人とかかわりたい)、4つ目は「自我の欲求」(他人との集団の中でら認められたい)、5つ目が「自己実現の欲求」(自分の能力や可能性の発揮、社会的影響)です。そしてその先は「愛」「博愛」といわれます。

日々の生活で必死な人は、他人の幸せを考えることはなかなかできません。その逆に偉業をなしえた人たちが最後は、寄付をしたり道路を造ったり学校を作ったりするのは、単にお金が余ったからというのではなく、欲求の成長段階が高くなっていった人たちの自然な行動レベルになります。

たとえば、会社の中で自分の売上や成果ばかり気にしている人は、意識の成長ではレベル1です。チームをよくしよう、とか部下を自ら育てようと思う人はレベル2・・・という風にあがります。しかし、会社の中にいてレベル5をするのは、とても難しいことになります。関心が、自分→集団→社会へと成長しているからです。これが前回に書いた「使命感」にもつながるのでしょう。では、会社員の場合、会社の中で自分の役割を見つけていくにはどうしたらいいのでしょうか。

私が相談をうけた人は、ある意味、レベルは4,または5,まできているといえます。自分の存在価値や評価がみえなくなり、将来が見出せない、という悩みは、レベル4,や5に来た人たちが、それ以上になると会社の中では、自分だけではどうにもできないことが多いため、行き詰まります。行き場を失ってしまうのです。しかし、こういう位置に一度きた人は、正直、どこか別の会社に転職すれば満たされるのか、というと違います。業界の変更や職種の変更、環境の変化では満たされない欲求です。「私は誰かに必要とされているのか」「貢献できているか自信がない」という不安感は、まさに高い欲求レベルの表れです。しかし、世の中の人のすべてが社長になるわけではありませんし、社長ばかりになっては困るのが組織というものです。
こうした人たちが、自分と会社をどういう関係で見たらいいのか。それは自分の勤めている会社の【理念】を自分の自己実現に重ねられるか、でみます。もしも転職を考えていた場合も、もしも仮に自分が社会に影響を及ぼすことができるとしたら、何をどうしたいと思うか、というイメージを持つことです。そのイメージとさまざまな企業の持つ理念を見比べて、自分のイメージにもっとも近いところに行くことができれば、レベル5以上の人たちが欲求を満たすことができます。もちろん、あなたは社長ではないので100%kの思い通りにはなりません。でもそれは自分が社長にならないのですから、ある程度はしかたのないことです。会社の理念を見て、あなたがこんな会社があったらいいな、うれしいな、と思える理念を掲げている会社があったら、そこがあなたの欲求を満たす「居場所」です。

仕事での自己実現の悩みは、実は自分の成長の証です。しかし自分では自覚できません。欲求の成長には目安も量りもないからです。それだけに人間は常に不安になります。
でも間違いなく高い欲求レベルの人になっています。だからこそ会社の理念と、自分が社会にしたいと思うイメージが重なってしまえば、自分の欲求は次のステージへいきます。そこが自分の居場所だと自覚できたら、人は大きく花開きます。

Profile

日野佳恵子(ひの・かえこ)。島根県生まれ。90年創業。女性(主婦)マーケティングの パイオニア企業として注目を集める。企業・主婦・ハー・ストーリィの三者共働型マーケティングを開発する。「クチコミュニティ・マーケティング」は登録商標。 [ 続きを読む ]

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ハー・ストーリィは、主婦マーケット専門のマーケティング会社です。「主婦の力をプロデュース」を合言葉に、web媒体とリアルネットワークを活用し、主婦のおしゃべりをコンテンツにするクチコミュニティ®・マーケティングという独自の名称で、事業を展開しています。

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