あきらめない 複雑にする
昨日、私の所属する中国地域ニュービジネス協議会の女性部会があつた。毎月、時代をとらえている事業家に講演を御願いしたり視察をさせていただいている。
昨日、うかがったのは株式会社アスカネット。広島の会社ですが、日本全国でも数少ないデジタルカメラ画像加工専門の会社。http://www.asukanet.co.jp/
もとカメラマンだった代表の福田氏が、冠婚葬祭を撮影するときに気づいたニーズを形にしている。たとえば売上の主力は「遺影写真」。日本では亡くなった人はその日のうちに通夜、葬儀と続く。遺影写真は時間との勝負。全国の葬儀屋と提携し、亡くなった方の写真を葬儀屋側がスキャナーで読み込めば、一瞬にして広島の本社に届き、オペレーターが、どんな写真も喪服姿に変え、明るい表情、顔色にして遺影に変えて戻す。その間、30分。葬儀屋側では完成した写真が出力される。このサービスのもっとも凄いところは、葬儀屋側はパソコン操作など複雑なことは一切不要ということ。「あったらいい」の発想を実際に、『誰もが簡単に使えること』にしてこそビジネスは伸びるというのが福田氏の考え方。付加価値とは、「人がほしいけど面倒でしないことを請け負うこと」だという。だから会議のときなども、新しいアイディアを出し合うとき、「それは無理です」とか「それならできます」と誰かが発言すると、迷わず「それは無理です」というほうを選ぶそうだ。そうすることで、競合もなく、誰もしていないことに最初に着手できるという。また、一度、サービスを作ると、アッという間に大手が真似をしてくる。だから、できるだけ工程は「人の手かげん」「職人ワザ」のような部分を残し、極力、相手がお手上げだ、と感じる品質、完成度に挑戦し、その流れをいかに効率化させるかが社長の仕事だという。そのためには情報、人材、機械など、必要と思うものはインターネットを駆使して、世界から集めるという。
この数年で、あっという間に写真の世界は、デジタルカメラが普及した。一般の人も、デジカメで写真を撮るとパソコンのフォルダーなどに保存して、昔のようにプリントしないままの写真が各家庭に大量に眠り始めている。彼はこうした分野もいち早く先を読んで動いている。
その一例が、「写真集」。最近、有名ホテルの結婚式を挙げた若い人たちが、まるでタレントの結婚式のような写真集を持っているのを見たことはないだろうか。最近は、レストランウェディングやハウスウェディングが主流になり、庭や部屋でモデルのプロマイドようにポーズをとった写真を撮るカップルが増えている。こうした写真は、全国のカメラマンや式場と提携して、撮った画像をアスカネットにデータとして送ると、なんと立派な「写真集」に加工してまた全国に戻される。立派な黒い装丁のものから、気軽なものまで、「アルバム」ではなく、印刷された本なのだ。しかも一冊から作れるというからすごい。普通、印刷会社では一冊からは請けない。尚且つ、それが写真画像だらけだと、作っても価格は驚くほど高くなる。彼のサービスは、写真集の完成物によって、数千円~数万円の範囲でできる。繰り返すけど一冊から!できる。
今までのは葬儀屋、式場、カメラマンという、いわゆる法人向けのサービス。こうした業界としっかり手をつなぐことでコミュニティが生まれ、相手のニーズを深めればさらにこのネットワークの中だけでビジネスがどんどん大きくなるという。
また、こうした技術を活かして消費者向けに提供しているのが、ネット上で簡単に本づくりができるマイブックサービス。実は、こうしたサービスも数年前まで競合他社が多く見られた。しかしこの数年ですべてが消えている。その理由が印刷から納品まで一貫して、独自の印刷機、製本ラインを自社で開発してしまったこと。マイブックのサイトは、私も多くの方にクチコミしている。自分のパソコンに簡単にソフトをダウンロードして、デジカメで取った写真やデータの中から、大切にしたいものを簡単に自分で編集してそのまま送信ボタンを押すと、10日後には本になって届く。
使いたいシーンはたくさんある。子供の記録、ペット、そしてギフト、親戚に配布する本、会社の資料、またレストランのメニュー、美容院のカット集、商品カタログなどなど。一冊数千円からできるこの機能は、もっともっと伸びるだろう。品質も素晴らしいく、アート作品、絵画、プロカメラマンの写真集などのニーズも多い。
マイブックのサイトです→ http://www.mybook.co.jp/
なんと最近は、携帯画像用のブックもある。小さなカワイイ写真集。
ビジネスは視点を変えればいろんなところに新しい分野がまっている。
『遺影写真の次に、写真集を満足のいくところまで作り上げるのに三年かかりました。競合が追従できない品質、スピード、価格にするための体制づくりは、あきらめない、しつこく執念で信じて進む、三年をめどに、それでも駄目なときはやめる。ぎりぎり三年で黒字になりました。人がしないこと、人がいやがること、人が無理ということをこれからも私たちは取り組むことにしたい」という言葉に、時代をつかむ人たちは「逆視点」で「不可能を可能にする方法」を考え、実行する人たちなのだと改めて感じた。

