あいさつの習慣

今日も飛行機にのって移動です。
飛行機に乗っていつもいつも思う不思議な光景があります。

ドアに入るところの左手には必ず整備士の方がいます。
右側と、ドアを入ってすぐはスチュワーデスが出迎えます。
どの人も「おはようございます」「ご利用ありがとうございます」とあいさつをします。飛行機はサービス業というイメージが定着していますから、当たり前の光景になっています。整備士さんのあいさつは、スチューワーデスほど完成されたあいさつではありませんが、会社からしっかりといわれているのでしょう。無表情な感じですが淡々と言い続けています。飛行機の乗客は数百人の規模です。全員が乗るまで、ずっと整備士もスチュワーデスも、あいさつをし続けています。

そう。にもかかわらず「挨拶を返す人は誰もいません」。朝の飛行機はビジネスマンでいっぱいです。各地を飛び回るそれなりのビジネスマンと思っていいでしょう。彼らは、会社では部下に「お客様に大きな声であいさつをするように」といっている可能性は高いのではないでしょうか。CS(顧客満足)が大事だ、と叫んでいる企業も多いのではないでしょうか。それでも場面が変わるとあいさつはしていません。あいさつされていてもです。
私はこの風景がとても嫌いで、整備士さんには意識して「おはようございます」とかえします。ときどき、どうせかえってこないと思ってあいさつをしているせいか、びっくりされます。スチュワーデスさんにも乗るときは、おはようございます。着いたら、ありがとうございました、と出口で伝えます。こうしないと日本の大人が嫌いになりそうなんです。

もうひとつ、もっともっと気になっているシーンがあります。
私が泊まるホテルの中に、汐留のホテルがあります。
このホテルは上層にあり、下はすべてオフィスです。最近、汐留には有名企業やテレビ局がどんどん移転し、まさに近代都市です。
このホテルの下には、あの「資○堂」本社があります。
朝、ホテルを出てエレベーターで一階に下りると、ちょうどこの会社の社員通用口と通路が同じになります。出張してとまるたびに翌日は、この巨大企業の社員通用口の前を通って私は仕事に向かいます。この通用口には、警備員の方が立っています。警備会社がどこかは不明ですが、この警備員の方々のあいさつがすばらしいのです。きちんと背を正し、腕を後ろに組み、快活に、警備員の位置から動かずに通用口に入る社員の方、ひとりひとりに「おはようございます!!」と大きな声であいさつをされます。それはそれは力強い挨拶です。しかし、しかしです・・・資○堂の人たちのほとんどは、ラッシュづかれなのか朝から疲れた顔をして警備員の方を無視した状態で入り口にどんどん吸い込まれていきます。笑顔をかえしている人もいません。皆、前か下をむいて、けだるい表情で足早に入ります・・・。
私が辛いと感じるのは警備員さんに対してです。今日も昨日も彼は元気のいい挨拶を続けているのでしょうか。あいさつは、相手がかえしてくれないと、どんなに訓練や仕事で教育されても、本来の意味が感じ取れないと、むなしくなり、機械的にするだけで、いつしか仕事以外の場所ではかならずしなくなります。あいさつをしたい、という自発的な喜びが得られていないからです。
悲しいけど、考えたくないけど、この資○堂も全国の小売、デパートで商品を売り、接客に力をいれているはずです。にもかかわらず、本社のエリートが、警備の方へあいさつもできないで無視して入り口にどんどん入っていく。

実はこの話し。掲示板で書くかどうかを悩んだ。たまたま土曜日にわが社に通っているコンサルタントの方が、「最近みた光景で異常な感じをもったことがあるんですよ。汐留のホテルに泊まったときに・・・」と、びっくりすることに、私とまったく同じ話しをしだしたのです。ということは多くの人があの光景に異常を感じているんだ、と思うと経営者としてぞっとしてきました。
結局、私たちの結論は、大勢の人たちが利用する場所に社員通路を持ったことは、いい意味でも悪い意味でも会社の姿が全部、みえてしまうということ。社風や人材の文化が見えてしまいます。逆にあれが警備の方にさわやかに挨拶を戻しているシーンをどんどん第三者に見せるとこの会社の評判はぐっと上がるだろうに・・・自分も経営者として、こんなことがどこか自分の会社でも起こっているのではないかと反省もさせられます。資○堂の本社の社長に手紙をかくべきか余計な世話なのか悩むほどです・・・。

家庭の中で、地域の中で、学校で、私たちはずっと「あいさつ」の大切さを習ってきました。にもかかわらず日本中、あいさつのできないシーンばかり。しかも大人がです。ビジネスでは、「感動」とか「お客様満足」といっています。これってやっぱり儲けのためにいっているだけということではないでしょうか。日常のコミュニケーションの習慣にはなっていないのですから、お客様だけに無理やりあいさつを習慣づけるのは間違っている気がします。

たまたま弊社の今日の朝礼で社員の朝のコメントが「あいさつ」についてだった。小学生にあいさつをしても戻ってこない・・・という話しを読んで、私はここに汐留のことをとうとう書いてしましった。次回、宿泊のときは警備員さんにおもいきってメモのラブレターを渡そうと思っています。「出張したとき、あなたのあいさつが楽しみです。ありがとう」と。

そういえば飛行機でもホテルでも見も知らない人が気軽に挨拶をしてくるときがあります。
そのほとんどは外国人の方です。ホテルのエレベーターにのっても「モーニン」といわれます。どこでどうコミュニケーション文化が違ってしまうのか。本気で知りたいものです。

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日野佳恵子(ひの・かえこ)。島根県生まれ。90年創業。女性(主婦)マーケティングの パイオニア企業として注目を集める。企業・主婦・ハー・ストーリィの三者共働型マーケティングを開発する。「クチコミュニティ・マーケティング」は登録商標。 [ 続きを読む ]

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日野佳恵子の著書
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ハー・ストーリィは、主婦マーケット専門のマーケティング会社です。「主婦の力をプロデュース」を合言葉に、web媒体とリアルネットワークを活用し、主婦のおしゃべりをコンテンツにするクチコミュニティ®・マーケティングという独自の名称で、事業を展開しています。

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