信号のない国

正直、会社を整備していくと、どんどん窮屈な世界に向かう。言い換えれば人を信じない社会へ行こうとしている。
昼食に出ようとすると「書類は全部、伏せて出てください」、パソコン作業の手をとめてトイレに立つときも、「画面はスクリーントーンで」、友人の引越し先をメールすると「メールに、第三者の住所やアドレスの記載はだめ」、企画書を打つと「複製禁止をすべてに表記」、長年のお客様が事務所に遊びに来たけど、「ここから先の進入は申請許可が必要です」・・・。

しかたないけど、当たり前だけど、常識になっているけど・・・でも嫌だ。本当はこんな世の中は嫌だ。どこかのJRで、ホーム内にあるゴミ箱の分別をちゃんと守ってくれない人がいるから、ゴミ箱の側面を切り取って、透明にして中身が全部見えるようにした・・・というニュースが出ていた。ひとりひとりの意識が社会を作る。ひとりひとり意識が環境を作る。ひとりひとりの意識が人権を守る。どれもこれも正義だし、間違っていない。
でも、なんだか嫌だ。どうしてこんな社会になったのだろう。

以前、テレビをみていたときに、交通量のとても多いある国で、なぜか信号がないのに、交通事故が極端に少ないという報告をしていた。解説では、人間は規制を作ると、かえってそれが、大丈夫、安心という常識を作り、結果、スピードを出してもどうにかなる、青だから人は出てこない、横から車はこない、と勝手に決め付けた行動をしてしまうため、咄嗟におきる事故があとを絶たないという。ところから信号がないと、誰もが、いつ、どこから、何かが飛び出すかも、という気持ちで運転をしたり、自転車にのっているので、全員が危機感を常識として暮らしているから、事故が起きないというものだった。

世間では名簿流出の企業や、名簿の売買業者などがメディアを通じて伝えられる。神経質なまでにプライバシー保護を重視している人も増加している。
よくよく考えると名簿流出があっても、悪用されても、電話やダイレクトメールがくれば、しっかりと断ることや、うまい話に乗らない、だまされない、弱みに付け込まれない・・・といった対処力を身につけたほうがいい気がするのだけど、そこにはあまり手をつけられていない。

もっと人を信じて、のびのびと暮らせる社会にしたいのに、逆さまの社会へ向かっていくしかない日々に、どこかさびしさを感じつつやらざるを得ないことが、ときとして悲しくなります。

Profile

日野佳恵子(ひの・かえこ)。島根県生まれ。90年創業。女性(主婦)マーケティングの パイオニア企業として注目を集める。企業・主婦・ハー・ストーリィの三者共働型マーケティングを開発する。「クチコミュニティ・マーケティング」は登録商標。 [ 続きを読む ]

日野の生い立ち物語
日野佳恵子の著書
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ハー・ストーリィは、主婦マーケット専門のマーケティング会社です。「主婦の力をプロデュース」を合言葉に、web媒体とリアルネットワークを活用し、主婦のおしゃべりをコンテンツにするクチコミュニティ®・マーケティングという独自の名称で、事業を展開しています。

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