常に上を目指す
日本の野球界がもめにもめているときに、海の向こうのマリナーズのイチロー選手の活躍は、対照的にスマートな生き様を見せてくれています。
昨日も五打席五安打。ひと昔前まで、大リーグといえば日本にとっては遠い存在で、日本の選手が大リーグで活躍することなど考えたこともなかったはずなのに、今では、大リーグの中でさらにトップを走ろうとしているスターが日本人であることは、本当にうれしいしすごいことだと思います。(と・・・さっきニュースを確認したら、今も試合中で、すでに三安打またまた打って、残り11になったそうです)
私はインタビューで答えるイチロー選手の言葉が、いつもとても楽しみです。どんなときにも現状に満足をせず、常に高いところに行こうという強い精神力、そして孤独であるはずなのに、どんななときも自分は自分というスタイル。
今回のインタビューでも、「純粋に比べられないです。相手もこちらも知らない状態で打ったのと、たくさんのことをほとんど分かった状態で打つのは違います。たとえば、相手の(守備の)シフトにしても半信半疑だったのと、確信を持ってやっているのとでは違うでしょう」。
と、うかれずに、きちんと分析したコメントです。
無我夢中で突っ走った1年目。高いレベルで結果を残しながらも苦しんだ2、3年目。そして今年、全球団から徹底マークされる中で、歴史を塗り替えるペースで積み重ねてきた安打は1本の重さは同じでも、その経緯は別次元のようで、イチローは、「まったく違いますね」ときっぱりと応えています。
とにかく、テクニックだけではなく、相手の球種、前回対戦の傾向、点差・状況…。決して「たまたま打てた」と言わず、「安打になるにはそれだけの理由がある」と強く言い切るのが、めちゃくちゃカッコイイです。1本ごとの理由を明確に理解していることが、<スポーツも戦略と戦術が重要>と見せ付けてくれています。
メジャー新の207単打は、1898年以来実に106年ぶり。1900年以前は四球も安打に記録されたとの説があるほどで、それほど古びた時代の扉の数々を、イチローは次々に開けようとしています。なんだか、日本では旧体質の球界に、ライブドアと楽天が新規参入できるかどうか、という風穴がおきようとしていますが、アメリカのイチローの方は日本のごたごたとは違って、気持ちがいいのです。イチロー自身は、周囲のけん騒を負担に感じるどころか、楽しんでいる感すらあります。
イチロー/「打ち続けないとクビ。ボクらはプロですから。見ている人を楽しませること、興味を持ってもらわなくてはいけない。それが使命ですから」。
プロである限り、スポーツもまたビジネスであり、娯楽産業。日本のプロ野球も、今は選手を応援する機運や、球団を減らさない機運が高まっていますが、もとはといえば、赤字であるということがすべての原点。そこを解決せずして、今回のような揉め事を見せるよりも、本来は、野球を楽しむ人をいかに増やし、いかにファンをひきつけ、黒字市場に転換させるのかを球団と選手が一丸となってビジネスパートナーであるべきことが、きちんと意識統一させてこなかったことにあるような気がします。人が入らなければ、どんなにプロだから、といっても払えるものは払えないし、維持できないものは維持できません。根本的解決をマスコミで示唆する人も討議する人もなく、なんだか、弱い者と強い者という関係だけで、人心をあおっている気がします。
「私たちお金出す人、私たち試合をする人」・・・というそれぞれの立場で運営し、関係者が一丸となってファンを増やすことや、野球ブランドを確立させることに本気になってこなかった結果のような気がします。
プロとは何か、をしっかりと体と実績で教えてくれるイチローの姿に、私たちも「お金を生み出せる人とはどんな人か、どんな会社か」を考えさせてくれる気がします。
チームが弱くても、負けても、人を動員し、お金を生み出すことに貢献をするイチローの姿は、ビジネス社会のトッププレイヤーでもあります。ひとりひとりが「プロ意識」を持つこととは、ビジネス感覚を全員が持つことに通じます。スポーツの世界もまた「プロ」である限り、そのことを同時に学ばなければ、「プロ」ではないのかもしれません。
プロとは何か。
会社で給与をもらっている人も、商売で利益を得ている人も、みんなプロです。お客様からいただいたお金で生計を立てている限り、私たちはそのお客様を「喜ばせ、興味をもってもらい、かってよかった」と思ってもらうことが仕事です。
プロとは、生計の中心となっている金銭を得ている仕事そのものを指します。どういわれてもお金をもらう限り、アルバイトもパートも契約も派遣も、「プロ」です。ひとりひとりのプロ意識が、存続、維持、発展の基本につながっていくことを誰もが知ることが大切な気がします。

