情報化時代の学生の就職

2月4日、国民生活金融公庫主催のシンポジウムにパネラーとして参加させていただいた。全体テーマは「中小企業勝ち残りの経営戦略」。少しユニークだったのは、基調講演は、東京大学社会科学研究所助教授の玄田有史先生で、学生を見ている立場からの人材についてだった。通常、コンサルタントや企業戦略の専門家などが多いので、とても興味深いテーマだった。
先生がいわれる内容は、なるほど気づかされることが多かった。
たとえば、今の大人が学生の時代は、「日本の大学は入るのが難しく出るのが楽」という固定概念。たしかに少し前まではそうだった。しかし今は違うそうだ。豊かな時代、情報が大量にいつでもどこでも入る時代に東大に入った学生は、昔と同じようにまじめで優秀ではあるが、情報が入りすぎて「どうしたらいいか迷う」という。テストの点数がよければ褒められ、自慢の子どもであった自分が、就職活動に成功したいと企業情報を集めたりするが、世の中はすでに「成果主義」社会になっている。年功序列も安定性もなくなりつつある。昔は学歴社会という明確なものがあった。東大までいけばなんとかなると信じてきたし、大人もそういう扱いで子どもを育てている。ところが実際に就職活動をすると、求める人材は「即戦力になりえる人」といわれる。【即戦力とは何か】をまじめな学生は、情報収集を駆使して理解しようとする。理解をして自分がその「即戦力」になろうと焦る。しかし、先生いわく「即戦力なんてありえない」と。「学生に即戦力だとかコミュニケーション力だとか論理的思考だとか、ベンチャー意識だとか・・・そんなものを期待したいということそのものが学生を追い詰める。中にはパソコンは最低条件とか、パワーポイントやエクセルが使えること、とか。学生にそれを望むのはヘン。それは会社で育てていくもの」というのが先生のご意見だ。「昔はラーメンのメニューが3つ。みそ、醤油、とんこつだったとしましょう。迷ったとしてもそんなもの。今の学生はラーメンが1万2000点ぐらいある状態に置かれている現実を知ってください。誰だって迷います。人によっていうことが違う。生き方には答えがない。調べれば調べるほど分からなくなる」といわれる。
たしかにそうだ・・・と気づかされた。私もどこかで学生たちに、自分の大学時代を棚にあげて今の自分の目線で期待値を高くしている気がする。なんたって、今、私の会社も新卒採用期間のスタート。募集要項には、しっかりと「コミュニケーション能力が高い人」なんて書いてある。。。。

超優秀な学生が就職試験にのぞんでも、「求める人材」という理屈では理解できないテストに直面する。教科書にはのっていないことで合否が出される。そして、不採用通知が続くと学生は混乱する。「ここまでがんばった自分を社会が必要としていないのか」という自信喪失にぶつかる。自分の全人格を否定されたように感じていく・・・というのだ。

私の娘の口癖には「お母さんみたいに数学も化学も歴史も・・・何も知らない人が会社の社長ってできるわけ?だったら勉強って何?しなくてもいいってこと?」という質問がある。勉強はできなくても、何とかなってる。でも、それもまた限界がある。やっぱり知識はないよりあったほうがいいし、科学の進歩は知識のある人でなければできない。だから「本物」のエリートはやっぱり必要だと思う。「本物」のエリート教育が今までは知識教育に偏ってきたきがする。それは学生のせいではない。
そういう意味では、玄田先生のような先生に出会えている学生たちはとても幸せだと思う。
ぜひ、魅力的な東大生を多く輩出していただきたいと思う。

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日野佳恵子(ひの・かえこ)。島根県生まれ。90年創業。女性(主婦)マーケティングの パイオニア企業として注目を集める。企業・主婦・ハー・ストーリィの三者共働型マーケティングを開発する。「クチコミュニティ・マーケティング」は登録商標。 [ 続きを読む ]

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