創業1000年、34代目
先日、商業界東北ゼミナール様のお招きで仙台に講演に伺いました。
その会場となっていた旅館は、秋保(あきお)温泉の「佐勘」。なんと伝承1000年、34代目女将のいる宿です。
事業は継承といいますが、10年続く会社も少ないという中で、1000年というのは言葉が出ません・・・。凄すぎます。そして、宿泊定員1050名大旅館と聞くとさらにその維持力には感嘆します。
佐勘の33代目の大女将が、宴会でスピーチされました。
「先代たちが、その時代、その時代に合った事業をしてきてくれたお陰で今日があります」という言葉でした。それは、「継続」とは、時代に適応する柔軟性と変化力の賜物である、という意味ととりました。
また、同時に変えないものも確かに継承されています。
たとえば、旅館の名前「佐勘」は、当主、佐藤勘三郎の名前からとったもので、代代に襲名させているそうです。襲名のときに、名前を戸籍の名前を変えるので、〇代目という呼び方はあっても、常に当主は「佐藤勘三郎」なのです。まるで歌舞伎の世界のようです。
もちろん、名前だけではなく、作法、姿勢、もてなしの心が伝承されるからこそ、今にあると思います。
ところで、私はこの日、社員の中村ともみと2人でいったのですが、とっても得したことがあります。
実は、この宿には、部屋のパンフレットや館内の案内のどこにも載っていない「秘密のコーヒーの店」があるのです。大げさなようですが、本当です。あえて誰にも教えず、宿泊客にも伝えない、特別の空間です。そこにたどり着くことは、かなり困難です。
そして、あえて、そうしている店だというのですから驚きです。
私は、クチコミを仕事にしているせいか、こういうことにはどうやら鼻が利くのか、偶然たどり着いたのです。
その空間は、周囲とはあきらかに異彩で蝋燭キャンドルがともり、ダンディな主人が、豆をミルでひき、布のフィルターでゆっくりと本当においしいコーヒーを落とします。
そして、東北の旅のコツ、特別なルートを教えてくれます。
店に入っていきなり、「どうして、ここに気づいたの?誰が教えたの?」と聞かれたので、最初は意味がわからず(だってコーヒー店に入って、そんなこと聞きますか??)
「どうしてそんな質問をされるのですか」と聞くと、
「教えない場所だから」と・・・。(え?)
そうです。たどりつくことがほとんどない店で、そのつもりで開けている店だからです。不思議です。
店には名前があります。「神は細部に宿る」です。
多分、この日、宿泊していた1000人のお客様で、店にたどりついたのは、私と中村の2人だけでしょう。
ごめんなさい、主催者のみなさま・・・。たまたま迷い込んでたどりついてしまいました。
私たち2人を丁寧にもてなし、2人のために語り、2人のために、おやすみ、と店主が送ってくれました。
そして、「今度はプライベートでおいで。観光ルートを書いてあげるから」といわれました。
店内には、店主の手描きの特別な観光ルートマップがありました。
紅葉の特別な場所、地元の人しかいかない滝、絶対におすすめの食事所、方言やアイヌ語・・・。
旅先で、いろんなことがおきます。体感できます。
「日野さん、出張大変だね、タフだね」といわれますが、
こんなミステリアスな出来事に出会えるのは、旅先ならではです。
もしも、ブログをご覧の方が、「佐勘」に行かれることがあったら、たどり着けることをお祈りしています。
コーヒーの香りは、絶品です。


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