よく「女性が社内にまったくいないので、女性向けの商品を作るのに、まずいと思うのですよね。うちの会社も女性を活かさないと・・・」といわれることがあります。
たしかにそれは一理あります。女の気持ちは女。もちろんその逆も。
女性客を集めるために、女性チームで作る商品開発とか、女性支店長の銀行とか、女性スタッフだけがいる店舗を作ったというニュースを見聞きしたりします。
ただ、【女性客を集めるために女性を】というのは、プレスや話題ネタに使われますが、その逆はあまりありませんよね。なぜかとよく考えていただきたいのですが、【男性客を集めるのに男性】が成功法則ではないからです。
ちょっと考えたらわかりそうなのものですが・・・。
先日、宣伝会議主催のセミナーで、花王のブランドマネージャー深澤勝義さんとトークをさせていただきました。http://www.sendenkaigi.com/kyoiku/case/
深澤さんは、「アジエンス」「セグレタ」の開発、「エッセンシャル」の大幅刷新などを手がけ、09年8月に「アタックNeo」を世に送り出しています。ご存知、花王は、「主婦」が圧倒的に顧客の生活用品を作っています。中でも、シャンプーや洗剤は、女ゴコロが重要の代表格でしょう。
そんな深澤さんに、「女性向け・・・中でも主婦向けの商品をヒットさせていくのに、男性であることのデメリットはないですか?」とお聞きしたところ、即座に返ってきました。
「男女の前に、マーケッターとしての視点、感度があるかが先です。このセンスのない人は、マーケティングには無理です。部下にもトコトン、この視点を重視して育成します。女性の場合は、購買者としては当事者ですから、欠点は、主観になりがちなところです。男性はその点、客観的になれます。ただし、男性は、その資質や感度がない人の場合、当事者にもなれませんから、そうなると花王では論外ですが・・・」
とのこと。
本当に、その通りですね。
男か女かの前に、「視点と感度」を鍛えること。
深澤さんは、部下の企画書に、この感度がないと、何度も何度も差し戻しをするそうです。
その基礎力の上に、当事者目線や客観的な経験値を乗せて、ヒット商品を実践で体得していくことでが大切なのでしょう。
女性顧客開拓のために、女性社員のチームを作る・・・
男性顧客開拓のために、男性社員のチームを作る・・・
となると、シニアならシニア、子供なら子供社員のチームということになってしまいます。
会社として、顧客開拓のためには、きちんと、「マーケッターとしての目線を創る」ことの鍛錬に時間を費やすことが大事という視点を持つべきでしょう。
多くの女性チームの現場にいくと、【会社に指名されてこの部署にいるのですが、何をしていいのか。どこから手をつけていいのかわかりません】というびっくりする話を聞くことがあります。
その結果、社内で成果が出せず、苦しんでしまう担当の方も多く出会います。
それでは本末転倒で、本人にとっても会社にとってもよくありません。
海外では、こんな問題は、あり得ません。
なぜなら、雇用だけでなく、マネジメントや経営感覚を学ぶ機会も男女平等に行われるからです。
しかし、この日本・・・とくに中小企業では、女性の管理職もとても少なく、経営感覚やマネジメント視点を学ぶ機会が少ないまま、仕事をしている人が多いのが現状です。
そんな環境の女性たちに、ある日突然に、「女性客のための企画を考えて」とか「女性向けの店づくりプロジェクトに入って」というのは、酷といえば、酷です。
男女を問わず、マーケティング視点を養う機会をまずは作ることが必要でしょう。
ハー・ストーリィには、女性マーケッター養成講座というのがあります。また、男性管理職向けの女性活躍風土を創るための研修を行っています。
そこでは、女性たちに何を身につけてほしいか、何を提供する会社や男性管理職であって
ほしいか、をお伝えしています。
売れる商品、会社づくりは、男女の前に、【マーケッターであること】が成功の視点です。
当たり前といえば当たり前なのですが、なぜかそこが軽視されたり、すっぽり抜けることがあります。
日本一、女性を集めているといわれているサイト、料理レシピの「クックパッド」、幼稚園ママに配布する情報誌で全国展開を目指している「リトルママ」、年齢肌で有名な「再春館製薬所」など、女性向けのビジネスをしている会社のトップが男性は、多いのです。
時代変化が激しい中で、マーケッター視点とは、「顧客視点」。花王は【インサイト】です。
顧客と同化し、顧客側から観る目を持ち、それを主観にせず、企業の資源や体制と調整し、顧客に返すことで、利益を上げることがマーケティングです。
マーケティング視点を社員全員に創る会社が、これから残るでしょう。