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2003/06/02 発行 - クチコミで会社を伸ばす方法

オタフクソースに見るクチコミュニティの市場創出

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           クチコミで会社を伸ばす方法
         『クチコミュニティ・マーケティング』
         http://www.herstory.co.jp/mm/mw.html
                              kaeko hino
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      オタフクソースに見るクチコミュニティの市場創出
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 クチコミュニティという言葉は私が考えた造語。(商標申請中)
クチコミはコミュニティを作ることによって、早く、広く、好意的に伝わると
いう意味を持たせている。
 サッカーでいえばサポーター、野球でいえば私設応援団、タレントでいえば
ファンクラブ、政治でいえば支援者、宗教でいえば檀家。こられ全てが金銭の
関係でつながっていない自発的な「気持ち」でつながっているコミュニティだ。
 しかし、これを営利団体である企業に用いることがはたしてできるのか?
 これがこれまでお会いしてきた経営者から投げかけられる率直な質問だ。

 そこで身近な事例を挙げてみよう。
 私の会社は広島市が本社だ。
 広島にある全国的に知られている企業の中に、お好みソースの「オタフクソ
ース」がある。私の会社から車で5分ぐらいの距離に本社がある。
 http://www.otafuku.co.jp/
 広島に来た人たちは必ず「広島に来たので、お好み焼を食べてオタフクソー
スを買って帰ります」という。(もみじまんじゅうも人気ですが・・・)
 どこの町でも名産はある。せんべい、漬物、お菓子、果物、海産物・・・。
 しかしなぜ「有名お好み焼き屋」ではなく、その名物料理の添え物であるソ
ースという分野で「企業名」を全国的に知らせることができたのか。という点
に注目をしたい。「どこのお好み焼屋がおいしいですか」とは聞かれることは
よくあるが、「ソースはオタフク」と名指しする人がなんと多いことか。
 稀にあまのじゃくな人がいて、「オタフク以外で地元の人がおいしいという
ソースがあったら教えてください」という人がいるが、その場合も、オタフク
ソース以外という言い方。みんなが会社名を知っていることになる。
 これは正直いって凄いことだろう。
 どうしてそこまで知名度を広められているのか・・・。今回はここに注目を
してみたい。
 「そりゃー、おいしいからだろう。おいしければ有名になるよ」と思われる
だろうか。私はオタフクソースの関係者ではない。知っている人はいるけど、
特別な関わりもない。だからこそ外部の目に見えてくる「フツーの企業と違う
本気の普及・布教活動」をあえて全国の方にお知らせしたいと思う。

 オタフクソースは創業80年を超える老舗。売上はソース分野で全国第二位。
トップのブルドックソースに追従して約110億(新聞調べ)。サイトで見ると
昨年のグループ総売上175億とある。
 夢は「オタフク」のブランドを世界に広めることと同時に、食にまつわる歴
史や文化を広め、世界への食文化を発信していきたいこと、としている。
 つまり、地方にありながら最初から「世界を視野」にしている。そしてその
事業を通じて、「食の歴史、文化を広める」ことを宣言している。しかし、多
くの会社がこうした理念を掲げながらも、いざ実行になるとどれだけ「具体的」
に実行し、それを対外的に「目に見えるように」「行動」しているのを「伝え
る」ことができているだろうか。
オタフクソースの活動は、それが確実に外部から見ていて伝わってくるのだ。

1 「お好み焼」と「ソース」にこだわった食の出版物の発行
 お好み焼の歴史や世界のお好み焼の紹介など、お好み焼を学問した「オコロ
ジー」焼そば編「ヤキソバロジー」たこ焼編「タコロジー」これら3冊を総
括した「続オコロジー」というユニークな本、また、平成9年に「お好み焼
と私」のテーマで募集したエッセイと川柳も出版。昨年は「全国名産品別メ
 ニューブックお好みソース、焼きソバソース編」「オコノミッション〜世界
 はお好み焼を待っている〜」など非売品で配布
 ハッキリいって、どれも企業の本というより十分に出版物として楽しいのだ。
 
2 お好み焼教室の開催
 家庭でおいしいお好み焼を作るコツを教える「お好み焼教室」の開催。また、
 鉄板・材料を搭載した「お好み焼団らん」1号・2号車があり、老人福祉施
 設などを巡回。1台は東日本、1台は西日本で活動を続けいている。

3 開業支援の「研修センターの設置」(東京、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡)
広島風、関西風のお好み焼・たこ焼の開業したい人のための研修コースを用
 意している。講師には「人気お好み焼店のオーナー」自らが務めているのが、
 さすがネットワークを巻き込むのが上手。
 広島校の例⇒ http://www.otafuku.co.jp/company/col_09a.htm

4 季刊誌おたふくの無料配布 サイト上で無料配布申し込み受付しているし、
 上客やキーマンの方たちには郵送している様子。
 本の中には料理のレシピやインタビューなど多彩。

などなど上げたらきりがない。「100億を超える企業なら会社ならどこでも
するよ」といわれるだろうか。オタフクソースの歴史を見ると本当に早くから、
【ソース好きを本気で増やす普及活動】を積極的に行っているのが分かる。
 また、そのための啓蒙活動ツールとして、主体的に出版企画を試み、多くの
人にソース文化に接しさせ、「使うならオタフク」というアプローチを行って
いる。同時に、それらの活動は数多くの新聞、メディアにパブリシティとして
取り上げられる機会を増やしている。
 こうした【ソース好きを本気で増やす普及活動】で、年々、「ソース文化」
に接し、オタフクソースの名前を知っていく人の数がどれほどいることだろう。
 その輪は最初は100人でも、ひとりが10人に「広島のソースはオタフク
がいいよ」と語ったら千人に。そのまた10人で1万人。さらに10人・・・
とアッという間に増殖したのではないかと想像する。
 商品に接する人、メディアに接した人、出版で知った人、イベントで出会っ
た人・・・企業の積極的な働きかけによって、語る人たちを増殖させていく土
俵の上に、独自性の高い商品が乗ったことで、地方発、ナショナルブランドへ
と進化したのだと思う。

 私のいう企業のためのクチコミュニティ創出は、こうした企業自身の「理念」
と「思想」が土台にある。企業は即効果のための広告宣伝・プロモーション予
算と、目に見えない【市場創出のための普及・布教活動】の両方を行うことで、
数年後に大きな市場創出を手にいれることができる。しかもスピードも早まる。
 「コミュニティをつくりたくて、女性を集めてセミナーをしたのですが、参
加者10人のうち、その場で買ってくれた人が1人でしたよ。割が合わないの
でやめました」こんな経営者と話すと悲しくなる。目的と予算をわけて使うべ
きではないだろうか。カッコいい理念を作っても、行動が具体的になければ、
コミュニティは作れないし育たない。お客様にはそれが感じ取れるから、そこ
から買いたくなくなる。商売は自分利益ではなくお客様利益であることを忘れ
ている。お客様は、自分にメリットを感じたときにクチコミをする。企業の利
益のために支援するのではないのだ。
 自社商品が支持される、愛される、買いたくなる、そんな市場創出を本気で
考える企業が生き残る気がする。

追伸/オタフクソースさんから、私には定期的に新商品のサンプルが送られて
くる。だからこの記事を書いたワケでは決してないのだけど、多分、キーマン
と思われる方や関係者、支援者にはこまめに発送を心がけておられるのだろう。
そういえば私は創業期に、自社で作っていた会報紙を勝手に自分でVIP名簿
と名づけた100人に5年間送り続けていた。
 そんな布教活動を「成果があるのか」と疑問を持たずに、無理のない予算枠
をとってやり続けていくことが、やがて大きな成果を連れてくることを実感す
る日々だ。

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