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製造から使用まで環境問題・社会問題に取り組むスウェーデンのデニムブランド
製造から使用まで環境問題・社会問題に取り組むスウェーデンのデニムブランド
2020年10月10日
学び・余暇
女性トレンド総研
女性視点にはサステナビリティはこれから外せないテーマ。暮らしを通じて地球環境や社会に役立つ自分でありたいと思う女性たちの意識は年々上昇している。そうした視点をビジネスの現場に先行して取り入れている海外事例をよく知る安並氏に、現地レポートからヒントをいただきます。
目次
1.環境と人に高負荷のデニム製造対策に乗り出すブランド続々
2.デニムブランド・Nudie Jeans 環境を考えた製造を徹底
■環境と人に高負荷のデニム製造対策に乗り出すブランド続々
今回は「デニム」の話。私の世代(もう50台半ばです…)は、子どものころは「ジーパン」と言い、社会人になってようやくジーンズと言い始めたように思います。最近は普通に「デニム」と言いますが、既に違う呼び名になっているのかな、と思ったりします。
ジェームズ・ディーンに憧れ、競ってLevi’sの501だ505だと言って買いそろえたものです。サンフランシスコに行ったときは、Levi’s本社にわざわざ行ったりも…。
さて、今回お伝えするのは、呼び名ことではありません。今の時代のデニムはいかにサステナブルでエシカルか、ということです。
デニムの製造工程にはさまざまな問題が存在します。デニムの材料のほとんどはコットン。コットンの生産国では、児童労働や低賃金、多量の農薬を使うなど重大な問題があります。また、あの藍色を出すためには天然染料インディゴが使用されていましたが、色落ちや風合いを出すためには相当の手間がかかります。
そこで最近は、手軽で安価な有害物質を含む化学染料がほとんどです。また、多量の水を使用するため、水資源や排水処理の問題も抱えます。乾燥段階では莫大な電力を使用。
店内の掲示では「100%オーガニックコットンで製造」「修理無料」「公正な方法で製造」など社会的責任が明記されている
要は、製造過程で水・空気・土壌などの環境や人間社会に相当の負荷を与えている商品なのです。そこで近年は、多くのデニムブランドが社会的責任を重く受け止め、オーガニックコットンを使用したり、生産農家のチェックをしたり、水をリサイクルするなど、その対策に乗り出しています。
■デニムブランド・Nudie Jeans 環境を考えた製造を徹底
スウェーデンに2001年に創業した、Nudie Jeans(ヌーディージーンズ)というブランドがあります。
Nudie Jeansの店内。こだわりのデニムが並ぶ
日本でも店舗とECサイトで販売されているようです。スウェーデンを訪れたときは必ずと言っていいほど立ち寄ります。もちろんこれまで何本か購入しました。最初は固く感じるのですが、履けば履くほど心地よくなじんでいきます(Nudieなのです)。もちろんすべてのデニムがオーガニック。
紙でできたデニムなど、かなり奇抜なチャレンジもしています。さまざまな環境問題・社会問題に取り組み、全ての製品が、自然保護団体の厳しいチェックを受け、BRA MILJOVALという環境ラベルを取得。
また、工場は再生可能エネルギーで稼働。さらにリサイクル、リユースも徹底されていて、なんとリペアは何度でも無料です。環境に負荷を与えないデニムを長く履いてもらいたいという姿勢なのです。
デニム以外にTシャツなどもある(Tシャツもオーガニックコットンのみで製造)
さらに印象的なのは、そこで働くスタッフのみなさん。Nudie Jeansで働くことに誇りを持っている、働けて嬉しい、と言うのです。
サステナブルでエシカルな製品を創り販売するということは、環境だけではなく、人々や社会をよりよくしていく。持続可能な経営のモデルとしても秀逸だと思います。
日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。