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家事育児と仕事を両立する子育て世代が抱える、今後10年の課題(後編)

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.12


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第12回目は、前編に引き続き、家事育児と仕事を両立していく子育て世代の課題についてお話しします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

結婚と出産年齢の上昇から考えるサービス


今後10年の予測として、結婚年齢、出産年齢はさらに上がり続けるでしょう。

出産年齢が高くなれば、子どもが成人するまでの母親としての年齢期間も後ろ倒しになります。


30歳で初産の場合、50歳で子どもが成人となります。夫は年上が多いと考えると、夫婦のテーマは健康で長生きすることでしょう。体力づくり、閉経(更年期)の体調不良を改善することへのニーズが高くなります。


世界ジェンダー・ギャップランキングから見る女性パワー


世界ジェンダー・ギャップランキングでは、日本は121位でG7最下位となりました。

世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダー・ギャップ指数」のランキングを意識して追うことは、女性視点マーケティングの重要な指標になります。


2020年、日本はG7で最下位、153ヶ国中121位でした。前年は110位で、さらに下がっています。この数値が上がりはじめれば、女性の消費パワーはさらに大きくなると予測できるため、意識して上げていきたい重要な指標となります。


この指標は、政治・経済・教育・健康の4つで数値化されます。政治・経済の分野で、日本はいかに女性が活躍していないかがわかります。

このジェンダー・ギャップ指数の低さは、SDGsの17の目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とも連動することから意識せざるを得ない課題となっていくでしょう。


コロナ禍から見えてきた世界の女性リーダーの活躍


新型コロナの拡大の中で、女性リーダーの活躍は目立ちました。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相や台湾の蔡英文総統は、代表的な存在です。

今回の世界的なパンデミックを契機に、女性リーダーの存在とリーダーシップが世界から評価されることになったのです。女性リーダーは、「一人ひとりの命が大切だ」という発信と行動を促した特徴が目立ちましたが、それに対して、トランプ米大統領やブラジルのボルソナーロ大統領などは、命を軽視する発信と行動を取ったのです。


マスク着用を自身がギリギリまでしないといったような行動は、特に子どもを持つ母親、高齢の親を持つ人々などの国民に恐怖を与え、何よりも大きな不安感を持たせました。


こうした女性リーダーと男性リーダーの比較記事をメディアは取り上げていました。これは極端な例だと捉える方もいるかもしれません。女性リーダーの発信は、今、世界中で取り組まれている地球環境保護や人権格差をなくすといったSDGsをリードするにふさわしいリーダーシップに見えます。


「2020年スピーチ・オブ・ザ・イヤー」では、ドイツのメルケル首相の演説が選ばれました。パンデミック初期の3月18日にメルケル首相が国民に向けて行なったテレビ演説は、世界的に高く評価されています。このスピーチが評価されたのは「共感能力」です。


社会全体を考え行動する21世紀のリーダーシップ


21世紀型のリーダーシップは、社会全体を考えて行動しなければなりません。

今までの力で押し倒す破壊的なリーダーに辟易した若者たちが、世界各地で声を上げているのです。


日本で最初のクラウドファンディングサービスREADYFORを立ち上げた米良はるかさんは当時、24歳の大学院生でした。READYFORは、社会課題解決案件が多いです。女性リーダーを増やすことは、世界の向かうべき課題解決を推し進めていくためにも必要なことです。


政治、経済への女性参画数値が低いことは、ダイバーシティ(多様性)という観点から見ても低次マネジメント力であると捉えられてしまうでしょう。


日本が真に世界のリーダーとして認められるためには、女性リーダーの育成は急務だと言えます。


次回は、今後10年、増えていく女性リーダーシップとその課題についてお話しします。


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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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