top of page

女性視点マーケティングを成功に導いた「ワークマン」後編

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.25


女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第25回目は、ワークマンが取り組んでいる女性視点マーケティングについて解説いたします。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

Win-Win関係であるアンバサダーの声


「彼らは本社に足を運び、マーチャンダイザーと話して改善点を伝えてくれます。実はこの制度には金銭のやり取りが一切発生していません。その代わり、自分が関わった商品が店頭に並んだり、活動内容を各自のSNSで配信しフォロワーを増やすのに役立ててもらっています」


このWin-Winの関係があるからこそ、アンバサダーたちは遠慮なく思ったことを口に出せるし、その貴重な「声」が新商品に余すことなく活かされるのです。


撥水加工を施したワンピースやスカート、ポケットがたくさんついたトップスなど、リアルな声を実現したウェアは、実際消費者に人気が高いです。


女性視点の着想から得た「インスタ映えスポット」


もうひとつ、同社の転換点にまつわる興味深いエピソードがあります。

今回新たに出店した「#ワークマン女子」には、店内に4ヶ所の「インスタ映え・動画映えスポット」を作りました。当初携わったのは営業企画部の男性社員でしたが、女性視点ゼロの提案内容に女性社員から厳しい指摘を受けたのです。企画チームは総入れ替えとなり、女性社員が主導して「ゆるキャラ」づくりや「小顔効果のためのアイテム制作」など、次々にアイデアを発信。結果、女性主体の店舗にふさわしい見事な映えスポットが出揃ったのです。


時代はファッション性から機能性重視へSNSの一投稿がきっかけで、思いがけず多くの女性ファンを獲得したワークマンですが、その背景には女性トレンドの変化が見え隠れします。


女性の動向を見逃さないワークマンの販売戦略


おしゃれから機能性ファッションへ、ハイヒールからスニーカーへ転身する女性が後を絶たないなか、同社に寄せられる期待はますます大きくなっています。


もちろん林さんもその点を見逃しません。


「他社製品と比べた時、ワークマンならではの機能性ウェアがどこまで勝負できるのかを考えています。これからの売上は女性客にかかっている。今回出店した『#ワークマン女子』のように女性に向けて舵取りをしていかないと、いずれまた限界がくると思っています」。



特に今回のコロナ騒動を経て、新たな動向が生まれつつあると林さんは指摘します。

それは、3密を避け、家族で外出する機会が増えたことです。


「今後の新規出店はすべて『ワークマンプラス』と『#ワークマン女子』の業態で出す予定です。ターゲット層を分けることで、各店の混雑を減らし、必要な人が必要な時にスムーズに購入できるよう工夫しています」(林さん)


SDGsを意識した企業活動


同社はまた、急速な店舗拡大の傍ら、SDGsを意識した企業活動も地道に続けています。


オリジナルスポーツウェア「FieldCore(フィールドコア)」のデニムパンツ「AERO STRETCH(エアロストレッチ)」は2020年モデルより、地域環境に配慮した製造をはじめています。


もともと衣類加工に最大70リットルもの水を使用してきましたが、現在は7リットルにまで削減し、スペインのJeanologia社の技術協力を得て、環境に優しい工程を実現しています。


さらに、衣料店には欠かせない配送のための多数の段ボールも、複数回利用できる「通い箱」を活用中です。

高い機能性と魅力的な価格で果敢に挑むワークマン。

留まることのない挑戦は、長引くコロナ不況を打破する勇気を与えてくれます。


KeyPoint


①売上の「異常値」から客層の変化を読み取る

②リアルな声を参考に商品開発に取り組む

③女性社員が主導してアイデアを店舗に実現


次回は、スープストックトーキョーの事例についてお話しします。



下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。



 

日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

  • 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい

  • プロジェクトのご相談

  • 弊社サービスへのご質問

上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。



תגובות


bottom of page