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ライブ配信中の商品をその場で購入!東急ハンズのライブコマース戦略「コスメエキスポ2021」

ライブ配信中の商品をその場で購入!東急ハンズのライブコマース戦略「コスメエキスポ2021」

ライブ配信中の商品をその場で購入!東急ハンズのライブコマース戦略「コスメエキスポ2021」

2021年6月10日

女性消費者行動

女性トレンド総研

新年度に入り、コロナ感染「第4波」への警戒が強まっている。長引く自粛ムードの中、まるで店舗にいるかのように買い物が楽しめると注目されているのが、ライブコマースだ。この春、東急ハンズでは、このオンラインを活用した新しい販売戦略「コスメエキスポ2021」で、さらなる顧客獲得を目指す。




女性視点ポイント


  1. 「ビューティコンシェルジュ」など商品情報に長けたスタッフを育成する

  2. 「ライブコマース」の活用で自宅に居ながらショッピングの楽しみを味わってもらう

  3. 双方向機能で消費者の質問を即座に解決し、販売へと結びつける

 

目次


1.画面越しに味わえる臨場感

2.「店頭でのやりとり」「その場で購入」購買意欲を刺激する要素があふれる

3.新たな収入源「ライブコマース」に期待

 


■画面越しに味わえる臨場感


「ライブコマース」とは、ライブ配信を利用して商品やサービスを紹介し、コメント機能を通じて視聴者からの質問に回答する、新しいオンライン販売のスタイルだ。これまでのECサイトにはなかった、双方向機能を持たせることで、実際の店舗で店員とやりとりしながら買い物をするかのような臨場感が楽しめる。

 

今年3月中旬から1カ月間、株式会社東急ハンズでは、春のイチオシ化粧品に特化した「コスメエキスポ2021」を開催。この春おすすめのコスメ商品を、東急ハンズの全店舗および特設サイトで同時に販売した。


特に特設サイトでは、流行のメイクアイテムやスキンケア用品、これからの季節に活躍するUV対策アイテムを、「インスタライブ」「ライブコマース」などのライブ動画でそれぞれ用意した。「『コスメエキスポ』という名称で開催するのは、今年で2度目です。毎年この時期には、各コスメブランドから発売される新商品を中心に、コーナー展開をしてきました。イベントでは、当社のバイヤーやビューティコンシェルジュおすすめの商品なども加えています」と教えてくれたのは、商品戦略部顧客政策グループの竹内菜緒さんだ。


コスメエキスポ2021では、流行のメイクアイテムやスキンケア用品、これからの季節に活躍するUV対策アイテムが揃う
コスメエキスポ2021では、流行のメイクアイテムやスキンケア用品、これからの季節に活躍するUV対策アイテムが揃う

竹内さんの言う「ビューティコンシェルジュ」とは、同社が育成したビューティ商品の専門スタッフのことだ。現在51名(2021年4月時点)が在籍するこのポストは、半月ほどの研修を経て、その後行われる試験と実技テストに合格した人のみ認定されるもの。毎年10名弱が合格となり、それぞれが学んだ知識を生かしながら、各店のビューティコーナーで日々接客にいそしんでいる。


美容のプロである彼女たちは、さまざまなコスメ事情に精通している。各商品の効果的な使い方や、シーン別のアドバイス、付け心地や繊細な色味の説明など、消費者が知りたい情報を細かく教えてくれ、顧客からの信頼も厚い。




■「店頭でのやりとり」「その場で購入」

購買意欲を刺激する要素があふれる


こうした彼女たちの活躍は、店舗だけにとどまらない。今回オンライン上で展開した「コスメエキスポ2021」では、人気の美容系YouTuberなどとタイアップして、「インスタライブ」や「ライブコマース」の形式で動画を配信した。テンポのいい掛け合いが耳に心地よく、気になるリップの色もその場で出して視聴者に見せてくれる。


写真を見るだけでは、なかなかその魅力に気付けないコスメでも、ビューティコンシェルジュの手にかかれば、すぐに欲しくなってしまうから不思議だ。画面に流れてくる視聴者からのコメントでも、「本当に全部欲しい」「どれを買ったらいいのかってぐらい迷っている」とあり、大いに購買意欲をくすぐられていることがわかる。


同社では、「ライブコマース」に力を入れるため、商品の詳細確認や購入がスムーズにできるライブコマースツール「TIGLIVE」の導入を始めた。視聴が中心となる「インスタライブ」と比べて、購買もできる「TIGLIVE」の利用方法はいたって簡単だ。ライブの配信時間に視聴(配信時間を見逃してもアーカイブより閲覧・注文可能)すると、商品紹介のたびに画面の向かって左側に、紹介中の商品アイコンが表示される。気に入った商品をタップするごとに、今度は画面の右側にどんどんアイコンがストックされていく。最終的には、配信終了後にストックされたアイコンの中から、お気に入りの商品アイコンをタップすると、購入ページへ直接飛び決済できる仕組みだ。


「長時間の直接的な接客が難しい今、ライブコマースやインスタライブを通して、コロナ禍で店頭に足を運べないお客様とのコミュニケーションを増やしたり、ご自宅にいながら商品を深く知っていただくという点に力を入れています」と竹内さん。


確かに現在、「コスメエキスポ」のようなオンラインイベントでの売上は、店頭と比べて微々たるものだという。しかし、ライブコマース配信を見た視聴者からは、「解説を聞きながら選べるのが良い」「すぐに回答してもらえて、リアル店舗みたいだった。すぐネットに飛べるしいい企画ですね!」「質問のやりとりができて、お店より楽しかった」といった前向きな感想が数多く寄せられており、竹内さんは確かな手ごたえを感じている。





■新たな収入源「ライブコマース」に期待


このようなチャレンジがあったおかげか、昨年から続く閉塞的な状況の中でも、同社のネットストアでの売上は伸びている。竹内さんは振り返る。「コロナ禍で消費者のSNSでの情報収集が増えていることから、特にInstagramの投稿内容の見直しや、ショップ機能の活用などに取り組んできました。インスタライブはコロナ前から月1~2回程度行っていましたが、コロナ禍ではより必要な施策ととらえ、現在は週1回程度に回数を増やし配信しています。そのたびに、ユーザー様とのコミュニケーションが活発化してきています」。


家に居ながらにして、店員とのやりとりを楽しみ、商品の魅力をライブ動画で知る。これまで一方通行でしかなかったオンラインショッピングが、今大きく変わろうとしている。



 

株式会社東急ハンズ

商品戦略部 顧客政策グループ 竹内 菜緒 様

(本社)〒160-0022 東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア

■事業内容 : 住まいと住生活・手づくり関連の製品・道具・工具・素材・部品の総合専門小売業

■年商 : 950億円

■創業 : 1976年8月


 


日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。

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