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おいしいチョコレートに潜む、児童労働という悲しい現実

おいしいチョコレートに潜む、児童労働という悲しい現実

おいしいチョコレートに潜む、児童労働という悲しい現実

2021年6月29日

学び・余暇

女性トレンド総研

女性視点にはサステナビリティはこれから外せないテーマ。暮らしを通じて地球環境や社会に役立つ自分でありたいと思う女性たちの意識は年々上昇している。そうした視点をビジネスの現場に先行して取り入れている海外事例をよく知る安並氏に、現地レポートからヒントをいただきます。


 

目次

1.そのチョコレート、どこから来たの?

2.フェアトレードチョコを選ぶという賢い消費

 

■そのチョコレート、どこから来たの?

今回はチョコレートのお話。皆さんもチョコレートは比較的よく食べると思います。私も身の回りに置いていて、気づくとつい手が伸びてしまいます。食べ過ぎには注意しないと……


さて、皆さんがよく食べるチョコレートはどこからやってきたものかご存じでしょうか? チョコレートがどこで生産されているかではなく、そのチョコレートの主原料である「カカオ」がどこからやってきたか、ということです。


カカオは、カカオベルトという赤道の南北緯20度、平均気温27℃、年間降雨量1000ミリ以上という、ごく限られた地域で栽培されます。限定された地域で栽培されるため、本来なら大変貴重な農産物です。西アフリカに位置するコートジボワールやガーナ共和国は、カカオの産地でとても有名ですね。また、カカオの含有量や、ミルクチョコからビターチョコまで、その選択肢は多くあります。


その貴重な農産物カカオを主原料としたチョコレートが、一般的にはとても安価で手軽に食べられるには、それなりの理由があると想像できます。カカオはそのほとんどが、赤道を中心とした発展途上国で栽培され、おもに外資企業によって経営され、そこでは以前から児童労働という現実が問題視されてきました。


近隣国から人身売買で連れてこられた子どもが無給、低賃金で働かされる実態が、NPOやNGOの調査で明らかにされ、2000年以降とくに欧米で報道されるようになり、その後児童労働を防ぐための国際カカオイニシアティブの発足につながり、現在ではその防止に向けた活動が進められていますが、この10年、実際は悪化しているという報告があります。


私が児童労働を知ったのは、3年前、オランダ大使館で開かれた児童労働に関するイベントで、それまで児童労働という言葉さえ耳にすることはありませんでした。



■フェアトレードチョコを選ぶという賢い消費

ここで紹介したいのが、オランダのチョコレートメーカー「Tony’sChocolonely(トニーズ・チョコロンリー)」です。とてもポップでカラフルなパッケージで、板チョコとしては大きめ、ヨーロッパの店頭ではよく見かけます。

Tony’sChocolonely(トニーズ・チョコロンリー)


ポップでカラフル、楽しいデザイン
Tony’sChocolonely(トニーズ・チョコロンリー)

包装紙の裏には理念と歴史がかかれる。これがブランド!

私もお土産で大人買いをしました。このチョコは、2002年オランダ人ジャーナリストがカカオ農園の児童奴隷の実態に衝撃を受け、自分自身を児童労働で生産されたチョコを食べたとして提訴をしたり、児童労働のないカカオを使用するよう、チョコレート会社にもちかけるも、カカオ価格が上がることで受け入れられなかったことから、自らフェアトレードのチョコレートメーカーを立ち上げるに至った経緯があります。


カカオ以外の材料もほとんどがフェアトレード、オランダでは最もサステナブルなブランドです。


フェアトレードのチョコレートメーカー

日本でもポップアップショップが開かれる


Tony’sChocolonely

不ぞろいのチョコは多様性を意味している

今皆さんが普通に消費しているものの川上ではどのような実態があるのか、そこまで思いを寄せて消費のありかたを変えることが、SDGsへの取り組みなのです。チョコレートを食べるときは、ぜひともフェアトレードチョコを!



安並 潤 井関産業株式会社 代表取締役社長 容器包装資材の販売、セールスプロモーション事業などの展開を行う中で、サステナビリティを経営のベースとし、経営革新とイノベーションに取り組む。北欧スウェーデンを中心に、サステナブルな仕組み、モデル、商品開発、 行政、教育機関、都市計画をベンチマークし、自社の経営に取り入れる。


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