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【株式会社アテニア】“数値の先”にある女性の気持ちを可視化。アテニアが挑んだ、本質に迫るLTV向上プロジェクト

  • 女性インサイト総研
  • 8月20日
  • 読了時間: 6分

更新日:10月14日

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株式会社アテニア

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(左から)株式会社ハー・ストーリィ 木下、株式会社アテニア 川上様・新海様、株式会社ハー・ストーリィ 日野


■INDEX


“お客様の期待を超える”アテニアへ。

成長への「次の一手」を見つける調査へ


株式会社アテニア様は、ファンケルグループの一員として、エイジングケアを主力としたスキンケアやコスメを展開している化粧品ブランドです。長年、女性のエイジングケア層をターゲットに商品展開を行う中で、お客様ごとのLTV(顧客生涯価値)の違いを理解し、どう活用していくかは、継続的な課題となっていました。

また、これまで複数の調査会社と協働し属性や購買傾向などの定量的なデータは把握できていましたが、次の一手として「なぜ選ばれるのか」「なぜ続けてもらえないのか」といった行動の背景についても、さらに深く理解を深める必要があると感じていました。


そこで今回、“お客様の解像度”を高める必要性を再認識し、女性インサイトに特化した弊社に調査を依頼。定量調査、インタビュー、トレンド分析を組み合わせたアプローチにより、LTVの違いを生む「共感のスイッチ」や「購入の意味づけ」が可視化され、具体的な改善施策へのヒントが得られました。



LTVの差にある“理由”を明らかに

事業統括本部 通販営業部 部長 新海 喜顕さん
事業統括本部 通販営業部 部長 新海 喜顕さん

本プロジェクトを主導したのは、事業統括本部 通販営業部 部長の新海様とCRMGの川上様。新海様はかねてより弊社の関連書籍に衝撃を受け、セミナーを通じて接点があり、今回、責任者となったことで改めて声をかけていただきました。

「お客様視点とは言いながらも、それがどれほど業務に落とし込まれているのか。改めて見直す必要があると感じた」と新海様は振り返ります。


事業統括本部 通販営業部 CRMG 川上 真莉奈さん
事業統括本部 通販営業部 CRMG 川上 真莉奈さん

プロジェクト開始時、チームが抱いていたのは「同じ年齢や購入回数でも、なぜLTVに差が出るのか?」という問い。ブランドロイヤリティの有無に限らず、購入行動には個々の気持ちの差異があるのではないかと考えていました。

また、ブランド価値や企業姿勢が、十分にお客様へ伝わっていないのではという課題感も。「エイジングケア専門ブランドであるにもかかわらず、商品の“らしさ”が出しきれていない」「“作る人は使う人”という企業の想いが伝わっていない」という点が、お客様とのコミュニケーション上の改善ポイントとして挙がっていました。

 

数字だけでなく、日々の揺らぎや共感性に着目する分析に驚いた

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弊社が実施した本調査では、アンケートによる定量調査に加え、お客様インタビュー、さらには女性市場の潮流をとらえたトレンド分析までを組み合わせた、複合的なアプローチを取りました。これにより、LTVの違いを生む「共感のスイッチ」や「購入の意味づけ」が可視化され、具体的な改善施策へのヒントが得られました。

特に注目したのは、「LTVが高い人」と「そうでない人」とのあいだにある“気持ちの違い”。単なる属性や購入頻度の違いだけでなく、“買ったあとの私”を想像できているかどうかといった、感情や共感性の有無が大きな分かれ目となっていることが、インタビューから見えてきました。

 


商品について意見交換している様子
商品について意見交換している様子

このような気づきは、数値による傾向把握だけでなく、そこに表れない背景や感情に光を当てることで初めて浮かび上がります。「誰が買っているか」ではなく、「なぜ買うのか」「買い続ける理由は何か」といった動機を丁寧に確認することで、購入時に商品を使った自分をイメージできることや、使い続ける中で得られる効果への期待が、購入や継続の決め手になっていることが見えてきました。つまり、単に価格やスペックだけではなく、自分にとっての意味や共感が、行動の背後にある重要な要素であることが明らかになりました。

 

アテニアの看板商品でもある「スキンクリア クレンズ オイル」
アテニアの看板商品でもある「スキンクリア クレンズ オイル」


「LTVのための調査」が、社員一人一人が自分事化するきっかけに

今回の調査がもたらしたのは、LTV向上に向けたヒントだけではありませんでした。

むしろ印象的だったのは、依頼部門だけでなく、会社全体で報告会に参加したことです。


これにより、調査結果を自分の業務にどう活かせるかを考えるきっかけとなり、社員一人ひとりが課題を自分事として捉える契機になりました。実際に、結果に共感する声も多く寄せられ、「お客様に向き合った提案ができているか」という問いが社内に浸透するきっかけにもなっています。

報告会後の社内アンケートでは、回答者の約8割が「業務へ活用をしている」・「業務へ活用しようと検討している」と回答しており、社員自身が自分事化するきっかけにもなりました。また、日々の施策やコミュニケーションにおいても、お客様に寄り添う姿勢や“人肌感”を意識した表現への転換が徐々に広がっています。

 

【社内アンケートの声(抜粋)】

  • ブランド推進部:一般的な女性の思考回路を基に、それに対してアテニアは何を叶えられて何が不足しているのかが理論的に理解できた点が特に良かった。


  • 店舗営業部:お客様のライフスタイルなど一人一人の年齢、生活において異なっておりコミュニケーションも柔軟に変えて訴求していく必要があると感じた。


  • 商品企画部:普段から言語化が難しいと思っていることを、わかりやすく言語化してくれていて、且つ共感できた。

 

 

肌悩み別のエイジングケアライン ドレスリフト(左)とドレススノー(右)
肌悩み別のエイジングケアライン ドレスリフト(左)とドレススノー(右)

 

お客様視点を軸に、事業全体の最適化へ

今回の調査を通じて得られた最大の成果は、「LTV向上」というテーマを超えて、お客様視点での全体最適を社内で再考するきっかけになったことです。今後は、お客様との接点を通じて、誰に・何を・どう伝えるかを丁寧に設計し、社員から直接お客様に思いを届けるブランド体験を強化していく方針です。

既に、アテニア社内では活用の場が広がり、「施策ツール」「オンラインサイト、スペシャルサイト」などの制作では、よりイメージできるような提案やエイジングケアについての一般的な知識を盛り込むなど、のお客様一人ひとりに寄り添う最適なコミュニケーションを追求する形を実行しています。

このように、数値だけでは捉えきれない「選ぶ理由」を把握することが、今後のブランド運営において重要な基盤となっていくことが期待されます。

 



【ハー・ストーリィ担当者】

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(右)代表取締役社長 日野 佳恵子

(左)マーケティング部 リーダー/主任研究員 木下 萌子

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