顧客の7割が女性、しかし組織に目を向けると主に男性。独自ペルソナ「ベイファミさん」を作り、見える化!お客様像に合わせた店づくり、商品作りが可能に。 | 女性トレンド総研 HERSTORY
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顧客の7割が女性、しかし組織に目を向けると主に男性。独自ペルソナ「ベイファミさん」を作り、見える化!お客様像に合わせた店づくり、商品作りが可能に。

株式会社ベイシア

代表取締役社長 相木 孝仁 氏

「来店客の7割が女性」女性視点マーケティングに注目

群馬県を拠点に関東中心に約130店舗のスーパーマーケットストアを展開する株式会社ベイシア様。「For the Customers」の企業理念に立ち戻るため、ハー・ストーリィは社員インタビューをはじめ顧客の実態調査やペルソナ策定、大田原店のリニューアルに際して女性視点での店舗プランニングなどを担当させていただきました。

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株式会社ベイシア
代表取締役社長
相木 孝仁 氏
<プロフィール>
1972年1月 北海道出身
1994年3月 明治大学政治経済学部卒業、日本電信電話(現NTT)入社
1999年5月 米国コーネル大学経営大学院卒業(MBA取得)
1999年8月 ベイン・アンド・カンパニー入社(2004年8月再入社)
2002年12月 ツタヤオンライン入社
2007年11月 楽天入社、常務執行役員などを務める
2017年9月 鎌倉新書代表取締役社長
2019年11月 パイオニア取締役常務執行役員兼インクリメント・ピー(現ジオテクノロジーズ)代表取締役社長を歴任
2022年1月 ベイシア取締役副社長を経て22年7月4日代表取締役社長に就任

共創プロジェクトのテーマ

スーパーマーケットは顧客の約7割を女性が占めており、店舗で働くスタッフも女性の割合が比較的多いが、組織に目を向けると店舗運営の意思決定や棚づくりに携わっているのは主に男性で、顧客ニーズを掴みきれていないのではという課題があった。

共創プロジェクトの方向性

女性視点マーケティングを導入し、地域に愛されるベイシアをモデル化する。
・顧客の選択価値の明確化と顧客ペルソナの策定
・顧客の視覚に訴えるビジュアル的なマーケティング(VMD)の導入
・ベイシア社員(売り場担当者)に対する女性視点マーケティングの浸透と実践

​導入成果

顧客ペルソナが明確になり、社員が女性視点での商品づくり、店舗づくりを学ぶことができた。

INTERVIEW

取材日: 2023 年 1 月時点


■顧客像と購買行動傾向を“見える化”独自のペルソナ「ベイファミさん」を策定


日野:ベイシア様には昨年一年間、弊社の「女性視点マーケティング」を導入・実施いただきました。


相木:私たちベイシアグループの経営理念は“For the Customers”ですが、実際には店内の商品構成も男性視点に偏りがちな傾向がありました。「このままではお客様に真の意味で満足していただけないのでは」と危機感を持ち、ぜひ力を貸してほしいとお願いすることにしたんです。

 


日野:まずは、御社の理念である「より良いもの」「より安く」「商の工業化」の強みを強化するため、顧客データの分析や直接のインタビューを実施しました。そこから顧客像と購買行動傾向を“見える化”したペルソナが「ベイファミさん」です。

 

相木: 女性視点マーケティングによる分析により、「ご来店くださる女性がなぜベイシアを選んでくださったのか」「どういう家族構成でどのような商品を求められているのか」といった顧客像と生活スタイルが明確に見えてきました。購買行動において特に興味深かったのが、ベイシアに来店くださるお客様は小学生から高校生の育ち盛りのお子さんを持つ母親が多く、大容量サイズやケース買いへのニーズが高かったことです。


一般的に現代社会では高齢化や孤食化が進み、1回あたりの購買量は少なくなる傾向にあります。そのため、我々もそれに応じた売場づくりを行ってきましたが、想定した成果があがらずギャップを感じていました。我々は食品スーパー業界に長くいるため、「お客様はこうだ」といった先入観があったのかもしれません。


今回の調査で顧客像をはっきりと洗い出したことで、社内でも議論を深め、共通理解が醸成できたのは大きな成果です。特に売場周りや現場で働くスタッフとの議論も重ねていただいたことで、お客様への理解も深めることができました。


※プロジェクトで使用している女性視点マーケティングテキスト
プロジェクトで使用している女性視点マーケティングテキスト

(左)ペルソナに近しい女性消費者に普段の暮らしをインタビューした一部。(右)お客様のまとめ買い需要に対応したカート


■VMDが大きく前進。季節感やイベント性を取り入れ「ワクワク」する売場にリニューアル


相木: 女性は、家族構成やライフイベント、ライフコースによって購買行動が大きく異なるということも、弊社にとっては新しい発見でした。一つの家族でも一人ひとりライフステージは変化し、成長とともにほしい商品も変わってくる。家族の変化だけでなく、過去と現在の時間、季節性、来店者の気分によってニーズが流動的に変化することを理解しました。

 

 

日野:そうですね。女性視点マーケティングでは、家族構成やライフイベント、ライフコース別に細かく購買行動を分析しています。

中間では、顧客像に合わせて店内での既存商品の陳列方法、季節カレンダーに合わせたVMD企画、POPなどより具体的な施策についても現場で取り組んでいただきました。

 

相木: お客様視点で考えると、本当に求められているのは商品力だけでなく売場の雰囲気やディスプレイのワクワク感を合わせて楽しめることも大切なのだと再認識しました。

例えば、節分の「恵方巻き」においても、おいしくご満足いただける商品の開発力には自信があります。でも、テーマ性や季節感をより全面に打ち出し、商品カテゴリーを超えた売場づくりが重要であることを学び、POPやVMD 含めて大きく前進したと感じています。



■大田原店を新モデルに、コンセプトである“食のテーマパーク”を体現


日野:後半では、実際に大田原店リニューアルに際して、新モデルとして成果を実践していただきました。

 

相木:コロナ禍を経験し、食品スーパーに求めるお客さまのニーズは大きく様変わりしました。新鮮さとおいしさはもちろんのこと、お買い物しやすくわかりやすい店内を通してお買い物自体を楽しんでいただくために立ち上げた新業態が「Foods Park(フーズパーク)」です。大田原店は「Foods Park」の記念すべき1号店となります。

コンセプトである“食のテーマパーク”を体現するため、生鮮売場を中心に商品力や伝える力を意識しました。売場づくりにおいてはペルソナも意識しながら、御社のプロジェクトメンバーと社内の各部門で議論しながら進めていけたのは良かったと思います。

 

日野:大田原店ではVMDやPOPなども告知面でも新しい取り組みがあったかと思いますが、現場の反応はいかがでしたか?

 

相木:現場にも、「情報を整理してわかりやすく伝えよう」という機運が生まれてきたように思います。

特に商品ではカットパインやクロワッサン、魚の七変化や焼き芋などはお客様からも好評で来店のフックにもなっています。私たちが伝えたメッセージをうまく届けられた結果ではないでしょうか。


店舗の様子
(左から時計回り) ・焼き芋の看板や屋台演出をすることで視覚的な楽しさも加える ・本場フランスから仕入れた生地を店内で焼き上げている。焼きたての鮮度も感じられる ・約7mあるフライ売り場。ベイファミの家族それぞれの好きなものを選べる要望に応える ・ベイファミさんに向けた大容量パイン ・新鮮なご当地野菜の紹介をした黒板。入口で目に留まる ・ベイシアのブランド牛とろ牛。こだわりポイントが説明されていることで商品情報がわかりやすい ・豊洲市場から直送の丸魚

魚コーナー
※丸魚コーナーがあることが旗で掲げられたことで遠くからもよくわかるように。 お客様のニーズに合わせて刺身用やフライ用など7変化に捌くサービスがよくわかる表示を取り入れる

■顧客ペルソナがクリアになり、女性視点での商品・店舗づくりを学べたことが最大の成果


日野:今回の取り組みを通じて「地域女性のお客様と家族」について、ビフォーとアフターでは、一番何を得たと思われますか。また、御社の今後の展開についてもお聞かせください。

 

 

相木:これまでマーケットインの視点が不足していたことを大いに反省しましたし、今回の御社との取り組みを通してぼんやりしていたペルソナもクリアになり、女性目線での商品づくりを学ぶことができました。今回の大田原店リニューアルをモデルケースにして、女性視点をより強くした店づくりを拡大していく一歩が踏み出せたと思います。

それから、ワクワクするような空間づくりや雰囲気づくりにも引き続き注力していきます。我々の商品づくりに対する追求力は維持しながら、お客様に楽しんでお伝えできる手法を見つけていきたいと考えます。


一方で、現場では日々の業務や、次々と出てくる新しい施策に追われてしまうこともあります。効果測定と売上をしっかり検証しながら、手を止めることなく、よりよい店に育てていけるようエネルギーを集中させていきたいですね。

スーパーマーケット業態は社員の異動があるため、店舗内に知見が蓄積しにくい傾向があります。組織の面ではナレッジマネジメントを継続しながら、ローカライズと標準化のハイブリッドが実現できたら理想です。



■今後は、女性視点マーケティングを商品開発に限らず、会社全体に浸透させたい


日野:「商の工業化」において、今後テクノロジー活用した取り組みは現場とどんどん融合していくのでしょうか?

 

相木:お客様の困りごとを解決できるような店舗をつくるためには、「テクノロジー」と「オペレーション」をワンセットで考えてく必要があります。現在、商の工業化の部門にはNo.2にデジタル業界出身の人材を登用し改革を進めています。ベイシアの出店エリアは1都14県と広域であるため、地域特有の商品展開とオペレーションの効率化の両立は今後も優先度高く取り組むべき課題です。

同時に、社内の意思決定者に女性の割合をより一層増やしていきたいと考えています。始めに申し上げたように、お客さまの属性と経営陣をよりマッチしていかなければ根本的な課題解決にはつながらないからです。女性視点をより強くした考え方についても、マーケティングや商品開発に限らず会社全体に浸透させていけたら、いい形で波及効果が生まれるのではないでしょうか。

 

 

日野:最後に、女性トレンド総合研究所について、期待や希望、今後の取り組みへの要望など忌憚ないご意見をお願いします。

 

 

相木:プロジェクトをご一緒させてただき、現代社会において大切な役割を果たしていらっしゃると感じました。マーケティングに限らず、商品開発や施策の企画、ブランドづくりなどにもどんどん活動を広げていただいたら、社会もよりよい姿に変わっていくのではないでしょうか。




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