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女性の心身の健康を医療から支え、自分らしく輝く人生を送ってほしい

対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座

院長 産婦人科医師、医学博士 対馬ルリ子 氏

2002年、女性の健康相談窓口としてのクリニック「対馬ルリ子女性ライフクリニック」を銀座に開業し、女性の声に耳を傾け続けてきた対馬先生。ハー・ストーリィでは、対馬先生の本業である女性ライフクリニック様のロゴマークの変更、ホームページリニューアルに向けての全体企画、ディレクションと、対馬先生が代表理事を務める日本女性財団のビジョン図づくり、フェムシップドクターの名称、ロゴマーク製作、ブランディング等を担当しました

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医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス 理事長
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座 院長 産婦人科医師、医学博士
対馬ルリ子 氏

<プロフィール>
東京大学医学部産婦人科学教室入局。女性のための生涯医療センターViVi初代所長。2002年現・クリニック銀座を開院。「女性医療ネットワーク」を設立。全国約500名の女性医療者と共に情報発信、啓発活動、政策提言等を行っている。2020年困窮する女性、行き場のない女性を医師、経済、支援団体が連携して支援する一般財団法人日本女性財団を立上げ代表理事に就任。専門は周産期学、ウィメンズヘルス。

共創プロジェクトのテーマ

女性専門外来としてより認知されるクリニックのブランドイメージの構築。
同時に、困っている女性を医師が支援する日本女性財団のフェムシップドクター活動の社会アピールを通して、広く女性の健康課題解決に興味関心を増やす。

共創プロジェクトの方向性

親しみやすく、心から明るくなるブランドロゴ、カラーの変更、サイト製作など。また社会課題解決として対馬ルリ子先生が取り組んでいる日本女性財団のブランド戦略を行い、女性の健康に関心がもたれるイメージ戦略を発信する。

​導入成果

活動が分かりやすくなり発信しやすくなった。支援が得られやすくなった。賛同者が集めやすくなり、全国にフェムシップドクターの数も増加している。

INTERVIEW

取材日:2023年5月時点


女性のライフステージに寄り添いつづける「かかりつけ医」でありたい。クリニック設立への思い


日野:対馬先生は2002年に「ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック」を開院され、日本の女性専門外来において草分け的な存在でいらっしゃいます。はじめにクリニックを設立された経緯をおしえていただけますか?


対馬先生:近年、女性の社会進出は徐々に進んでいますが、日本の女性は自己評価が低いとも言われています。女性が自分らしい姿で自己を肯定し、社会で活躍するには、まずは身体が健康であることが大切だと考えていました。


ここ数年、well-being(心身、精神的・社会的に満たされた状態)という言葉も広まっていますが、女性にとって身体の外側と内側の両面が健康な状態であることは、well-beingと同意義だと思っています。女性が快適に生活し、自信を持って社会でやりたいことを実現するためにも、私たちは医療面から女性の心身の健康をサポートしたいとクリニックを開院しました。


女性ライフクリニックの診療内容は産科・婦人科に限りません。内科や泌尿器科、皮膚科やフェム外来など医学的観点から必要と思われる科目を用意し、女性の心と体の健康にかかわる専門家たちが、協力して診療にあたります。


産婦人科医や女性医師のネットワークを活用し、専門家のスキルや経験を一人の患者さんの健康のために役立てたい。クリニックの根底にはこのような思いがあります。


日野:先生は女性特有の体の悩みに早くからお気づきになっていらっしゃいました。


対馬先生:アメリカでは1990年代から性差医療の考えが広まっていました。性差医療とは、男女の身体の違いや特有の疾患等を考慮した上で、最適な診断や治療を実現しようとする医療のあり方です。生まれた時は男女の身体の成り立ちは一緒ですが、思春期から更年期には性差が大きく開き、特に女性はPMSや更年期症状など特有の疾患も多くあります。私は産婦人科医としてキャリアを歩んできましたが、「日本にも性差医療の考えを医療に導入したい」と想いが芽生え、女性の生涯の健康問題をケアできる医者を目指すようになりました。


低用量ピルを取り巻く課題も背中を押される一つのきっかけになりました。ピルは1960年にアメリカで最初に認可されましたが、当時は「女性が妊娠を決めるなんて許せない」と社会的なバッシングが巻き起こったほどでした。しかし、妊娠や月経の時期を女性自身が主体的に選択していくことで、社会進出を掴み取っていった時代背景があります。


日本では1999年になってようやく認可されましたが、クリニック開院当時、知識不足のために出産トラブルに遭うたくさんの女性たちを診てきました。ですから、まず大切なのは女性が自分の身体と健康課題を理解してもらうこと。そうすることで、ようやく人生を主体的に選び取っていけるのではと考えるようになりました。


従来は疾患着目型の医療でしたが、性差医療の概念をといり入れ、疾患ではではなく患者さんを見る、いわば「人」を見る医療に取り組み始めました。女性の心と身体をトータルで診療し、ライフステージに寄り添いつづける「かかりつけ医」でありたいと思っています。


日野:今でこそフェムテックも注目されていますが、当時の先生の着目点は理解されにくい部分もあったのではないでしょうか?


対馬先生:ピルへの理解も進まず、女性がなかなか社会で活躍できなかった背景には、女性が自分の気持ちを押し殺す“美徳”に寄りかかってきた社会構造があったように思います。


日本では1972年に男女雇用機会均等法が施行されましたが、女性が男性社会に追いつくため、無理して合わせていく風潮があったように思います。さらに家事や子育て、介護などのタスクを抱える方も多く、その結果、身体を壊してしまう患者さんを多く目の当たりにしてきました。


課題は女性に限りません。男性もうつや自殺、心筋梗塞の罹患率は高いです。これからは男女共に健康を管理し、イキイキと働けるような働き方改革が必要ではないでしょうか。


トップインタビュー_対馬ルリ子氏


健康経営への意識の高まりと女性のヘルスケアの重要性


日野:近年、働き方改革の取り組みの一つで、企業が従業員の健康管理に配慮する「健康経営」が推奨されています。実際今は健康を意識できる社会になっていると言えるでしょうか?


対馬先生: ここ10年ほどは大きな転換点です。国も健康経営を後押しし、経済産業省では2016年から特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」を実施しています。


性差医療に関しては2002年に性差医療・医学研究会が発足し、私も2003年にNPO法人女性医療ネットワークを設立して医療的アプローチから女性の健康に関する勉強会やセミナーを開催してきましたが、理解者が医療関係者のみに留まっている課題は拭えませんでした。


そこで、労働安全衛生や企業健保に関する有識者と共同で「働く女性の健康推進に関する実態調査」を実施すると、女性従業員の約6割が女性特有の健康課題などにより職場で困った経験があると回答し、女性特有の健康課題による経済損失等があることがデータ(*)から見えてきました。


そのため、女性の健康課題に対応した健康経営の推進が必要だと経済産業省に提言したところ、「健康経営優良法人認定制度」の認定基準の一つに「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」を盛り込むことができたのは大きな成果です。


現在も大企業・中小企業問わず企業の意識は高まっていますし、職場でもSDGsや個人の違いや多様性を認め生かし合う「ダイバーシティ&インクルージョン」への理解が広がっています。


日野:まさに今、企業は対馬先生の提言を機に職場改善に取り組んでいます。世の中が大きく変化したのも先生たちの働きかけが大きいのではないでしょうか。女性の健康課題を働く女性に認識していただくには、まずは企業が理解を深めることが必要だと思います。先生のお考えはいかがですか?


対馬先生:もちろん経営層が進んで女性のヘルスケアを理解する必要はありますし、企業の健康診断に関しても性差医療の考えを取り入れるべきだと考えます。例えば血糖値やコレステロールの値は今では若い女性にとってリスクが高くない要素だと考えられているように、性別に応じた適切な検診を受けることが望ましいです。


日野:確かに一般的な健康診断は男性が基本対象となっています。先生のクリニックでは女性向け検診も実施していますが、会社で受けた診断結果を持って相談することも可能なのでしょうか?


対馬先生:はい、クリニックでは患者さんの検診結果を見ながらまず語り合います。そして、30代なら婦人科検診や乳がん検診、40代以上の方には更年期ドッグや骨密度・甲状腺チェックなど女性のライフステージに応じた検診プログラムを組んでいます。加えて妊娠希望の方には基礎体温計測や卵子凍結、葉酸・鉄・カルシウム摂取のアドバイスをするなど人生の選択に寄り添った支援をしています。


日野:女性検診の重要性を知らない方もまだまだ多いのではないでしょうか。


対馬先生:もちろん会社の健康診断を受けることも大切ですが、検診結果を健康にどう活かすかが大事です。忙しいと後回しにしてしまいがちですが、不調がなくても年に一度はカウンセリングを受けることをお勧めします。


弊社がお手伝いした業務(ロゴ、サイト、経営サポートなど)内容について


日野:今回、ハー・ストーリィではクリニックのブランドイメージの構築をテーマにブランドロゴとカラーの変更、サイト製作のディレクションなどをお手伝いさせていただきました。反響はいかがですか?


対馬先生:非常に助かりました。毎日患者さんに向き合っていると、なかなか時間も労力も割けなかったのですが、医療の視点だけで考えるのではなくマーケティングやビジネスの専門家の視点、考え方を教えていただきました。


それから発信の重要性も学びました。今までは講演や外部の取材対応が中心でしたが、自分達の取り組みや商材をコンテンツとして発信することで私たちの医療に賛同共感支援する人が増えました。実際、クリニックにも「自分の身体への理解を深めたい」という方が来院くださっています。


ロゴビフォーアフター
ロゴビフォーアフター


困窮する女性の声に向き合うため「日本女性財団」を設立


日野:2021年には女性の生涯のWell-beingの実現に向けて、医療・福祉・政治・経済が連携し、国政に声を届ける団体「一般財団法人 日本女性財団」を設立されました。設立の経緯は?


対馬先生:コロナ禍の医療現場では、虐待や失業、貧困による栄養

失調や望まない妊娠、DVなど女性たちの困窮する姿が明らかになりました。中には声を上げられず、見過ごされたSOSもあります。そこで、支援を必要としている女性たちを適切な専門機関に繋ぎ、多くの企業や組織と連携して社会課題解決につなげたいと設立しました。


財団の主旨に共感いただき、困窮する女性たちをサポートしてくださる医師・医療関係者たちを「フェムシップドクター」と呼び、オンライン診療やSNS緊急連絡、シェルター、地域団体・行政との連携に取り組んでいます。


一般社団法人日本女性財団_活動全体概念
一般社団法人日本女性財団_活動全体概念


日野:設立2年目には企画統括として私が一年間サポートし、事業ビジョン、「フェムシップドクター」の名称、ロゴマーク、そしてハー・ストーリィがイベントを請け負い、ポスターやクラウドファンディング2回の実施など資金集めもサポートしました。反響はいかがでしたか?


対馬先生:財団のロゴマークと「フェムシップドクター」の名称が生まれたことで、「思いを共有する仲間とともに前に進んでいこう」という連帯感が醸成されました。フェムシップドクターの数は現在40名ほどと多くの賛同者にも出会うことができ、他団体や自治体、専門機関と情報交換を通じて連携を強めています。



(左)ロゴマーク(右)イベントポスター
(左)ロゴマーク(右)イベントポスター


包括的ケアを次世代につなぐ。クリニックが目指す未来


日野:対馬先生は今後、どのようなことに注力したいとお考えですか?


対馬先生:クリニックで展開している包括的ケアを次世代に繋いでいくことです。現在、東京産婦人科医会の副会長を務め学校保健の分野を担当していますが、東京都では2022年10月より都立高校に産婦人科医を学校医に任用する制度が始まりました。思春期特有の悩みやヘルスケアに関する専門的な相談等を受ける取り組みで、初年度は10校からスタートし、今後実施校を増やしていく計画です。


また、生徒や保護者を対象にプレコンセプションケア(妊娠前から始まる健康管理)に講演も実施しています。今後も仕掛け人として自治体や教育機関に働きかけ、女性のヘルスケアのリテラシー向上に務めたいと思います。


日野:お話を聞いていると、改めて先生は“種を撒く人”という印象を受けます。


対馬先生:特に地方は高齢化・過疎化が進み、医療の地域連携もなかなか進みません。well-being実現のため、財団では困窮する方々の現状を調査しながら、よりよい社会システム構築に向けた要望や政策提言も出していきたいと考えています。


日野:先生のクリニックは初診でもオンラインで診療が受けられるため、地方在住の方にとっては助かると思います。


対馬先生:地方では更年期のホルモン療法薬やピルの処方に時間がかかる地域もありますから、ささいな身体の悩みでも構いませんので、まずは気軽に相談していただけたらと思い明日。不安を解消し、背中を押すきっかけになる存在でありたいですね。


女性ライフクリニック新宿 伊勢丹」は伊勢丹新宿店内にあり、土日診療にも対応し予約不要で受診ができます。女性たち飛び込みやすい場所として選んだのですが、招聘してくださったのも女性の役員さんでした。当事者である女性が時代を切り開く時代になったんだと改めて実感しています。


クリニックに対しても「自分たちが快適に働くためにもこういう場所は大切だ」という認識が広がってきています。自分達の専門領域にとどまらず、女性の生涯の健康と幸福ためにできることをシームレスに提供していけたらと思います。


ハー・ストーリィへの期待値


日野:最後に、ハー・ストーリィに対する今後の期待値をお聞かせいただけますか。


対馬先生:今の世の中に広がる変化の機運は、女性視点で新しい社会を創造するハー・ストーリィにとっても追い風となるのではないでしょうか。ヘルスケアを取り巻く社会環境を少しでも打破し、誰もが健康に生涯を全うできる社会にするためにも、今後も連携しながらさらにフィールドを広げていただきたいと思います。


トップインタビュー_対馬ルリ子氏

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(*)参考:健康経営の更なる発展に向けて(平成30年2月20日)

経済産業省 商務・サービスグループヘルスケア産業課

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/award_panel1_meti.pdf


【女性ライフクリニック公式サイト】

https://w-wellness.com/

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