市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.54
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第54回目は、女性のクラスターごとに異なる響くポイントとトレンド感について解説いたします。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
女性のクラスターごとに異なるトレンド感
女性はクラスターによって響くポイントがまったく違います。
どのクラスターを幸せにしたいのかを、しっかりと考える必要があります。合わせてそのクラスターにとっての、「今年らしい」「話題の」といったトレンド感を入れることも重要です。
男性の場合、最新モデルを好む傾向がありますが、女性の場合は、かならずしも最新モデルではなくても、「この時期だからコレ」とか「こんな気分には話題の」「コレ買いたかった。春だから桜色にしました」など、ある期間の悩みや不安を解消するモノに対して旬やトレンドなどのタイミングが加わるとほしくなるという傾向があります。
インスタ映えなどはまさにそうで、「フルーツパフェ」「かき氷」などのスイーツや、色鮮やかな景色の場所やファッションなどのことを「映え」といって写真に撮ってシェアをする行動がありますが、もともとの商品は、昔からあるモノや定番のモノだったりすることは多々あります。
また、社会環境の変化や状況によっても欲するニーズが変わるのです。
「コロナ禍で放置していた髪がパサパサになった」(社会環境と置かれていた状況)→「髪をサラサラにケアにできるドライヤーがほしい」(悩みや不満の解決商品)→「同時に肌がリフトアップできるドライヤーが今話題だからほしいな」(トレンド)といった感じです。
クラスター内の調和を保つための選択
女性は、同じクラスター集団からはみ出さないために消費するというモノも存在します。
「群」から出ないための消費というイメージです。
たとえば、春の入学式シーズンに、小学生ママたちの間では「式典で浮かない服」という言葉が出ることがあります。「浮かない服」とは、その場にふさわしい服という意味です。
そしてそんな中にも「今年らしい色」や「今年らしい形」というのがあるのです。女性にとってのトレンドとは、「クラスター内で評価・目的に応える・今どき感」をつかむことを言います。
たとえば、冠婚葬祭の服ひとつをとっても、男性であればスーツ、ネクタイ、シャツなどの基本的な準備で終わります。しかし、女性の場合は、ヘアスタイル、ヘアアクセサリー、メイクの色、リップの濃さ、ネイルの色や光、ストッキングの色、バッグの形と大きさ、指輪のデザイン、靴の色や形など、トータルに組み合わせ力が必要となるのです。
女性は、その場にふさわしいコーディネートが求められるのです。ご祝儀袋ひとつを選ぶのにも、相手のイメージから、現代的デザインか、豪華な花がついているのか、主役の女性が好きな色を選ぶかなど、相手を考えて祝儀袋を選ぶことも意識します。
それが自分の評価にもなるからです。
クリスマスケーキの事例から見るクラスターごとのトレンドの違い
2020年のクリスマス時に、弊社の独身30代の女性スタッフが、「今年のインスタでちょっと気づいたのですが、やたらに真っ白でおしゃれなケーキをあげる人が増えています。その写真をあげている人は、みんな独身女子と思われます。赤いイチゴやフルーツ、動物がのっていたりする色鮮やかなケーキの写真は、みんなママです」と言っていました。
その真っ白のケーキを調べたところ、なんとコンビニのセブンイレブンが、若い女性に人気のルームウェアブランドのジェラート ピケとコラボレーションしたクリスマスケーキでした。
次回も引き続き、クリスマスケーキの事例を挙げながら、クラスターごとに変わるトレンド感について解説します。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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