市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.53
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第53回目は、母親クラスターへのマーケティングで重要な理解と共感について詳しく解説します。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
母親クラスターのストレスを認識し認めることが第一歩
母親クラスターのマーケティングで大切なのは、彼女たちのストレスをきちんと認める姿勢です。
「大変だね」「大丈夫?」と声をかけられるだけでも気持ちが楽になることがあります。
妻「ちょっと朝からお腹が痛くて」夫「病院行けば」と言ってしまうだけで、妻が不機嫌になることがあります。夫からすればもっとも最適なアドバイスをしているつもりですが、妻からすれば「まずは、『大丈夫?』とか、相手に気遣いの声ぐらいはかけられないの? 冷たい人」となってしまうことがあります。
常にストレスを持つ母親クラスター
母親クラスターは、常にストレスを持つ日々があります。
自分のことだけではなく、さまざまなことに対処しなければなりません。
そのストレスを緩和させるための選択と行動をします。そのストレスを認めてくれていないと感じる夫の言葉にはイラついてしまうのです。
企業のCMやツイッターの発信などにも敏感で、不快感を持つと不買運動さながらの行動も出やすいです。同じ母親たちに、不快情報を知らせることで、気持ちに抱えた不快感を早く吐き出したいと思うし、自分が感じた不快感を同じ状況の友達には感じさせたくない、と思ってしまうからです。
おせっかいと助け合いをすぐさま行動に移します。
共感を狙う必要がある母親クラスターへのマーケティング
CMでは、母親クラスターが見て共通項を感じる女優を起用することのほうが共感を持ちます。自分たちとほど遠い、または環境がまったく違う女優を起用して、母親向けをアピールをしようとしても興味を持たれません。
「子どもがいないからできるのよね」「わかってないわ」となるし、そもそも別世界に関心を持つほど暇ではないからです。あからさまにシャッターを下ろします。
最も大切な母親クラスターへの理解
母親クラスターにとってもっとも大切なことは、その苦労や大変さをわかってほしいことです。
理解者がほしい、認めてほしいのです。その気持ちに響くメッセージや言葉の投げ方が商品を売ることよりも先です。母親クラスターは、女性消費者の中の最大最強パワーであるにもかかわらず、マーケティングの世界からは遠い存在になりがちです。
母親クラスターに向けた商品やサービスの開発には、同じ状態にあるモニターや女性社員を介在させることが鉄板中の鉄板です。
母親クラスターの視点は、消費者の中でもっとも厳しい目を持ちます。商品がよくても手触りが違う、手触りがよくても重さが違う、重さがよくても色が違う、色がよくてもCMが違う、などです。母親クラスターのマーケティングは、プロセスの最初から最後までに一貫して母親視点を入れることです。
母親たちを介在させないでつくる商品やサービスは、たったひとつの障壁によって売れないなどのつまずきが起こります。
母親クラスターの「快」は、わかってくれていると思えること。
母親クラスターの「不」は、わかってくれていないと思えること。
次回は、クラスターによって変わるトレンドへの理解について解説していきます。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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