市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.58
女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第58回目は、女性顧客とのかかわり方とその重要性について解説します。
HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。
女性消費者との深い絆が生み出す新たなビジネスモデル
2005年著書『ファンサイト・マーケティング』(ダイヤモンド社)を発表し、その中で「女性消費者と企業はもっとダイレクトにつながっていくことが重要だ」と書いています。
女性たちの消費行動を知れば知るほど、関わりの仕方によっては、女性たちは単なる「顧客」という関係を超えて、パートナーやアンバサダーといった存在に変わっていくことを見続けてきました。
パートナーやアンバサダーに変わると、購入はもちろんですがコミュニケーションの仕方によっては、どんどんロイヤルユーザーに変わり、自ら進んで情報発信をし、クチコミで布教してくれることが特徴的にあると気づいていました。
出版社の意向もあって、わかりやすく「ファンサイト」というタイトルになっていますが、私の中では、「クチコミュニティサイト」と同義語でした。
書籍のサブタイトルは、『企業のファンがネットの「クチコミ」で増えていく!』で、その帯には「企業と顧客がWin-Winになる」と書いています。当時から伝えたかったことは、女性消費者とは、手を取り合い、「共」に歩んでほしいというビジネスモデルでした。
クチコミをするアンバサダーが浸透し始めた2012年
掲載企業のほぼすべてを自分で取材に行きました。
当時はピンときていないマーケターも多かったですが、2012年頃にネスレがネスカフェアンバサダーという名称で、オフィス需要を拡大するためのCMを発信したことで、多くの人たちが「アンバサダー」という言葉を知ることになったように思います。
それまで弊社内には、アンバサダーという言葉はなく、私たちは「クチコミの種をまく人」というイメージで自発的にクチコミをしてくれる人たちを「シーダー」と呼んでいました。今はアンバサダーがもっとも伝わるでしょう。
顧客との関係性を気づき上げてきた企業のコミュニティ
2005年の発刊時に本書に掲載していた企業のコミュニティは、無印良品のネットコミュニティ(現在の「くらしの良品研究所」)、ベネッセコーポレーションのウィメンズパーク、アイスタイルの@cosme(アットコスメ)、そしてアマゾンジャパンなどです。そこに記載した企業がその後、成長していきました。
企業と消費者がつながることは、無印良品の例を見ても、単なるコミュニケーションという域を超えて、商品開発や改良改善まで、多くの役割をコミュニティにいる会員たちが担っています。長い時間をかけて、顧客との関係性を築き上げてきた企業には、頭が下がるし、これらの手法が間違いではなかったことを教えてくれます。
次回は、中編で、無印良品の「くらしの良品研究所」を事例を挙げながら女性消費者の声を聞くことの価値について解説します。
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日野佳恵子
株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。
【著書】
「クチコミュニティ・マーケティング」
「女性たちのウェルビーイング」
「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。
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