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カフェ、シェアキッチン、ブルワリーで地域の新しい出会いを創出する「団地キッチン」田島/日本総合住生活株式会社



団地エリアに誕生したホッとする場所

団地キッチン「田島」

1960年に埼玉県さいたま市に建てられた田島団地は、約1,900の戸数を抱える大規模団地です。


築60年を迎えつつあり、住民基本台帳によると団地エリア(田島6丁目)は、住民の過半数が65歳以上と高齢化も進んでいます。


その一方で、ここ数年さいたま市は、全国トップレベルの勢いで市外からの転入者が増え続けているんだそう※。


(総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」より)昔から住み続けてきた住民と、次々と転入してくる新しい住民。


両者のつながりを築き、地域を盛り上げるきっかけ作りができないかと思案してきたのが、同地に技術開発研究所を構える日本総合住生活株式会社になります。


「当社はこれまで、住宅管理や修繕工事を通して団地と関わってきました。しかし、団地が魅力を維持していくためには、コミュニティー形成を支援していくことが大変重要だと考え、今回のプロジェクトを始めました。


当社も地域の一員として、西浦和にどう貢献できるかを考えた結果でもあります」と語るのは、住生活事業計画部事業計画課の中野瑞子さんです。


中野さんいわく同プロジェクトは、2019年の夏頃から本格的な検討が始まった。


住居地域である田島で飲食業を運営するには、法的な制約があったため、行政側との調整や協議を細かく積み重ねていったという。


さらに「当社は創業から一貫して、『住』を専門としてきましたが、『食』に関する施設やサービスは取扱いが多くありませんでした」と中野さん。


方法を模索していたところへ手を差し伸べてくれたのは、飲食事業について助言をしてくれるさまざまな専門家や、地域で活動する住民がたでした。


 

◆KEYPOINT:

  • 誰もが気軽に立ち寄れるスペースとして「カフェ」を運営する

  • 身近な「食」をテーマに「シェアキッチン」「ブルワリー」を併設し、さまざまな角度から住民同士のつながりを作る

  • ガラスで仕切ることでお互いの活動を意識し次の活動への興味を持ってもらう

 


施設内の様子

多世代が楽しめる3つのアプローチ  


周りのサポートを得てスタートを切った「団地キッチン」田島には、若い世代から高齢者世代までが立ち寄りやすい「カフェ」「シェアキッチン」「ブルワリー」の3つのアプローチが用意されています。


清潔感あふれる白を基調としたカフェには、ウッドテーブルと椅子が並び、穏やかな日差しが差し込みます。


店内では、一汁三菜を意識したヘルシーな定食やドリンクを提供しているのです。


子ども用椅子やおむつ交換台も完備しているので、乳幼児連れの家族でもゆっくり過ごすことができますよ。


「カフェ」の真横には、広々とした3種類の「シェアキッチン」が併設されています。


「イベントや講座を実施・製造・販売することで、多様な世代の方が活躍し、まちの魅力を発信できるようにしています」と語るのは、同施設のコミュニティーマネージャー福田哲也さんです。


「シェアキッチンは、イベント利用を目的としたもの、菓子製造業許可対応のもの、そうざい製造業許可対応なものの3種類に分かれています。


料理教室やワークショップに利用したり、セミプロの方による焼き立てパンの製造や、農家の方が収穫物の加工品を製造するなどして利用されています」(福田さん)そんな店内の中でもひときわ気になるのが、ブルワリー(ビール醸造所)だ。ここでは地域の特産品を活かした試みが、積極的に行われているのです。



ブルワリーで醸造しているクラフトビールの三種飲み比べセット

醸造長も務める福田さんいわく、「市や地域のシンボルフラワーである『サクラソウ』をテーマに、クラフトビールを作りたいというご要望を受けたこともあります。


試行錯誤の末、第1弾としてリリースしましたが、さらに改良を加えてこれから完成を目指していきたい」とのこと。


また親子向けの醸造体験では、埼玉名物である「狭山茶」を使用して「狭山茶ラガー」を製造しました。そのすっきりした味わいに、評判も高かったといいます。




定期マルシェで地域の農産物を扱う




さらに「団地キッチン」田島は、月1回のペースで県内産の農作物等を味わえる「団地キッチンマルシェ」を開催中です。


当日は各農家がブースを出し、自慢の野菜を販売する。郷土料理のワークショップや販売メニューの調理もあり、当日は屋外だけでなく屋内のシェアキッチンもにぎわいました。


また、公式サイトやSNS(InstagramやFacebook)を通じて、ワークショップの様子やカフェメニューの紹介、「団地キッチンマルシェ」の告知など積極的な情報発信を続けているのも特徴です。


さまざまな世代がふらっと集える「団地キッチン」で、地域の野菜を手に入れ、地域の料理を味わう。


そんな空間は今、地域の住民にとってどのように受け止められているのでしょうか?


同じ部署に所属する鴨志田京子さんによると、「地域の方へ取らせていただいたアンケートの中では、8割以上の方が『団地キッチン』田島ができたことでご自身の暮らしが楽しくなり、良い変化につながったと答えてくれました」と顔をほころばせていました。


こうした住民からの反響は、施設運営に奮闘する鴨志田さんたちの励みになっています。施設の立ち上がりからそろそろ1年。


中野さんに今後の展望を伺いました。


「1周年を記念して、当施設で生み出されるプロダクト(オリジナルクラフトビールやシェアキッチン会員の製造商品など)を販売するコーナーを新設したいと考えています。


ゆくゆくはこの場所から地域の名物が生まれるように、スタッフ一同、施設で活動する方々と共に頑張っていく所存です」(中野さん)西浦和の気軽に集える食堂として、「団地キッチン」田島には今後も幅広い世代から熱い期待が寄せられそうです。










 

◆インタビュー:

団地キッチン

日本総合住生活株式会社


日本総合住生活株式会社 住生活事業計画部 事業計画課


「団地キッチン」田島 コミュニティーマネージャー兼醸造長 福田哲也 様(写真左)

副長 中野瑞子 様(写真中)

課長 鴨志田京子 様(写真右)





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