創業12年で全国168拠点に急展開
2011年、埼玉県さいたま市で設立されたリハプライム株式会社は、主に4種類のデイサービス(コンパスウォーク・コンパスプラス・コンパスフルネス・コンパスカインド)を運営する他、訪問看護や定期巡回などの介護事業を手掛けています。
さらに、福祉用具のレンタル・販売や介護用品の通販サイト、高齢者向けの美容室や移動スーパー、健康食パン専門店の運営など、高齢者からのニーズが高いサービスを次々と立ち上げ、多角的に推し進めているのです。
その中でも、リハビリに重点を置いたリハビリデイサービス「コンパスウォーク」は、全国でフランチャイズ展開を行っています。
現在は直営店・フランチャイズ店合わせて168拠点にまで拡大を続けており、「元気に毎日を過ごすことができる」「体が軽くなりすごく楽になる」など利用者からの評判も上々です。
◆KEYPOINT:
介護事業のヒントはもっとも身近な肉親の困り事から得る
職員全員に「敬護」精神を浸透させるために定期的な社員研修や動画視聴ができる機会を準備する
高齢者の目標を共有し意欲を引き出すことで、積極的にリハビリできるようサポートする
コンパスウォークでの利用者とスタッフの様子
体の不自由な高齢者の声に耳を傾け、多種類のサービスを提供するが、設立の背景には小池さん自身の苦い思い出があります。
「母親を入所させる施設を探しに行った際、利用者さんを『ちゃん』付けで呼んでいる施設がたくさんあり驚きました。
年老いても人生の大先輩である親のプライド(誇り・こだわり)を護るために、介助して護る『介護』でなく、人生の大先輩を敬って護る『敬護』を、私自身が提供しようと決めました。」
この「敬護」の理念は、フランチャイズ店の急速な広がりを後押ししている理由の1つでもあります。
2016年から展開する同事業のキャッチコピーは、「自分の事業で自分の親を護りませんか?」というもの。
この理念に深く共感した各エリアのパートナー企業が続々と集まり、「敬護」の輪は着実に広がり続けている。
社長自ら継続した理念教育を実施
特に「敬護」の心意気を強く感じるのは、同社のメイン事業の1つであるデイサービスの内容です。
利用者の体調や目的に合わせて4種類の施設に分かれますが、中でも多くの利用者が通うのがリハビリ専門の「コンパスウォーク」です。
通常のデイサービスでは、個別リハビリに対応できないところが多い中、「コンパスウォーク」では理学療法士を常駐させ、専門的なリハビリに臨んだり、個別の整体マッサージも受けられます。
「ほかの施設との一番の違いは、『敬護』の理念を持つスタッフが、『リハビリと意欲はつながっている』という前提を共有していることです。
そのため、ご利用者様一人一人のお名前や趣味、意欲(通所する意義)や目的を職員が把握するようにしています」(小池さん)利用者全体が参加するようなレクリエーション体操は一切実施せず、代わりに個人のその日の体調や病気に応じて個別の機能訓練を行うことが、「コンパスウォーク」の強みにもなっているのです。
一方、利用者と接する職員たちの育成にも余念がありません。月1回の社員研修として、2時間の講座が行われる「コンパスアカデミー」や、毎朝3分間の動画配信を通じて「敬護」理念の定着を図っています。
会社の理念が形骸化しないよう、どちらも小池さん自らが実施することで、現場職員たちと理念の共有を徹底しています。
「介護・医療業界の経験がある従業員にも、それまでの固定観念を一度捨ててもらい、改めて当社の理念『敬護』の持つ意味と本質を理解してもらいます。
そのためにことあるごとに理念研修を行い、『敬護』を軸とした共通言語を学び、業務に従事できるよう人財育成を行っています」(小池さん)シニア向け生活圏「コンパスヴィレッジ」に向けて職員へのこうした教育体制は、施設の現場で着々と実を結び続けています。
利用者からは「職員のきめ細やかな心遣いと温かみのある対応に感謝している」「スタッフが分け隔てなく優しく接してくれるので感心している」など、現場での対応に満足する様子が伝わってきます。
利用者の「動けるようになったらやりたいこと」の意欲を尊重し、手を添えてサポートする職員たち。
その姿勢はまさに、小池さんが日々積み上げたスタッフ育成の成果なのかもしれません。
12年前、自身の経験から「敬護」理念を確立した小池さんだが、その最終形態は高齢者に必要な全てのものが至近距離でそろう「コンパスヴィレッジ構想」の拡大にあります。
「普段から関係を築いている担当者が、シニアのニーズや困り事を解決できるようにした、民間による地域包括サービスです」と小池さん。
現在本社を構えるさいたま市では、デイサービスだけでなく、訪問介護・看護事業、高齢者向けの美容室、健康に留意した生はちみつ食パン専門店、自費の外出支援事業・家事代行、移動スーパー事業など、生活に必要な一通りのサービスが利用可能です。
「これも一番身近な母親の困りごとからアイデアを得ています。自分の親が住み慣れた地域で過ごせるだけではなく、親や親世代の方が誰かの役に立ち、必要とされ、充実する時間を感じて過ごせる事業を創っていきたいですね」と小池さん。
今後は、全国に展開している各拠点に、「コンパスヴィレッジ」を広げていきたいと語ってくださいました。1エリアから始まった介護の新概念「敬護」。
全国各地に「コンパスヴィレッジ」が広がる日は、そう遠くないかもしれませんね。
◆インタビュー:
会社名:リハプライム株式会社
代表取締役
小池修 様
Comments