実店舗&ECサイトそれぞれの強みを活かせるマーケティング施策
日本におけるギフト市場規模は2021年に10兆円を突破し、ゆるやかに上昇を続けています。その中でも目立って好調なのは、お歳暮などのフォーマルなギフトよりも、誕生日やちょっとしたお礼に贈られるカジュアルギフトの市場であることがわかりました。
2023年現在、親しい相手へコミュニケーションの1つとしてプチギフトを贈ることが日常化されています。
今回は、この新たな習慣に対する悩みを解決したことで女性の圧倒的な支持を得られたギフト雑貨専門店「BIRTHDAY BAR(バースデイ・バー) 」/株式会社マグスタイルの成功事例をご紹介いたします。
◆KEY POINT:
動画を活用して画像だけでは伝わらない商品の良さを訴求する
ラッピングに力を入れ利用客の気持ちに寄り添う
社内インフルエンサーの活用で店舗およびECサイトへの集客を促す
お礼用のプチギフトや自宅用まで幅広く展開
雑貨ブランド「BIRTHDAY BAR」を手掛ける株式会社マグスタイルは「3COINS(スリーコインズ)」を展開する株式会社パルグループホールディングスの関連会社です。
「365日あるBIRTHDAY だれにでも訪れる誕生日はプレゼントのチャンス」をコンセプトに掲げ、香水やコスメを含むビューティアイテムから、時計や財布・アクセサリーなどのファッション小物、そして家電・キッチン用品・健康器具などの生活雑貨まで幅広く扱っています。
「質の良い、誰かにあげるのに丁度良い価格のものをご用意しております」と語るのは、同社の営業部長である小野晃宏さん。
「BIRTHDAY BAR」を訪れる利用客の主な用途は、誕生日プレゼントやちょっとしたお礼代わりのプチギフトを求めるケースが多く、また、自宅用のニーズも高いそうです。女性が9割を占めており、10~50代までの幅広い層に利用されています。
その中でも最多層は20代女性。店舗での利用客1人当たりの平均単価は、2,550円(2023年3~8月)ほどです。
開店当初からフレグランス系(オリジナルせっけんなど)のアイテムを始め、ステーショナリー、服飾雑貨、アクセサリー、キーホルダーなどの雑貨が売上の多くを占めており、特にここ数年は低単価のアイテムが売れる傾向にあるといいます。
さらに、「プレゼントにしてもご自分用にしても 、ご購入に何らかのこだわりを感じます。そのためブランドコンセプトが面白いもの、まだあまり出回っていないおしゃれなものなど、 自信を持って推せる商品はジャンルを問わず売れていますね。その中でも最近はインテリア小物に人気が集まっています」(小野さん)
社内インフルエンサーを育て、実店舗があるメリットを活かす
現在、BIRTHDAY BARは首都圏を始めとした複数の県に18店舗を展開しており、同時にECサイト「BIRTHDAY BAR」も運営しています。ECサイトの売上額は直近7年で28倍も伸びており、店舗およびECサイトを合わせた総売り上げのうち4分の1を占めるまでに成長しました。
こうした成功の裏では、実店舗を構えるメリットを効率よく活かしている状況が見て取れます。
鍵となるのは、SNSを軸にした販売促進プランです。デジタルSVの髙橋昌寛さんによると、パルグループは各ブランド内で個人インフルエンサーを育てることに力を入れているといいます。「現在フォロワー1万人越えのメンバーが4名います。SNSを投稿する度に分析を繰り返し、インスタグラムやTikTokでアイテムをバズらせることができるようにスタッフを育てています」(髙橋さん)
こうした社内インフルエンサーの存在は、大きな企画を打ち出す際にその価値が存分に発揮されます。ブランド全体でSNSへの投稿を積極的に行うことで、売れ筋商品を生み出す流れを計画的に作り出していくのです。
例えば、韓国発の雑貨ブランド「OPTATUM(オプタウム)」について、社内インフルエンサー経由で集中的にSNS投稿を行ったところ、実店舗およびECサイト共に大きな売上を達成することができました。あるスタッフはピローミストの紹介として、枕やシーツへの使い方や香りの良さを発信。親しみやすい言葉遣いとわかりやすい使用シーンを見て、店頭に足を運んだり、ネット経由で購買した利用者も多かったようです。SNSを介したこうした取り組みにより、ここ1年でECサイトのみならず、実店舗への集客に着々と効果が出始めています。
「大切な人を想う、その気持ちに寄り添う」ための工夫
また「BIRTHDAY BAR」では、WEB上で商品をより理解してもらうための試行錯誤も続けています。
例えばバッグやモバイルアイテムなどは、実際にスタッフが商品を着用し動画を撮影。画像では伝わりにくい商品の使い方や質感などを伝えています。
そのほかにもこだわっているのがラッピングです。
「豊富な種類を用意し、包装紙や袋での無料ラッピングのほか、有料でコットン素材の巾着やギフトボックスにおまとめするタイプまで幅広くご用意しております。特に今年は『BIRTHDAY BAR』1号店の渋谷ヒカリエ店がリニューアルをしたタイミングで、より一層ギフトサービスの充実を図るため、渋谷店限定ではありますがお客様に包装紙やリボンの組み合わせを選んでいただける特別なカスタマイズラッピングを実施中です」(髙橋さん)
こうしたラッピングサービスは、店舗購入時のみ受けられますが、利用者の中には「相手にギフトを渡したら喜んでもらえました!」とスタッフへ伝えに来てくれる方もいるそうです。
「うれしいですよね。まさに企業理念として掲げている『大切な人を想う、その気持ちに寄り添う』を感じ取れる瞬間だと思います」と髙橋さんも顔をほころばせます。
「今後はラッピングサービスの向上にも力を入れていきたいですね。クオリティ、遊び心、サプライズ感を提供できるようにしていきます」(小野さん)
先日、関連会社が運営するアパレルショップアプリ「PAL CLOSET(パルクローゼット)」との連動も開始。リピーター向けのクーポン配信も積極的に行い、さらなる集客を目指していく。今年も残すところ2カ月あまり。クリスマス・新年とイベントが目白押しのこのシーズン、「BIRTHDAY BAR」の勝負が始まろうとしている。
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◆インタビュー:
株式会社マグスタイル
営業部長
小野晃宏 様
デジタルSV
髙橋昌寛 様(写真は髙橋様)
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