女性たちの暮らしに密着する「女縁」と消費行動
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女性たちの暮らしに密着する「女縁」と消費行動

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解 vol.21


女性視点マーケティング戦略コラム


女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第21回目は、女縁がもたらす消費行動について解説します。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。


 

女縁がもたらす消費への深い影響


「女縁」は、女性それぞれの生活や暮らしに密着して幅広く存在し、その数は年齢に比例して増えていきます。それは好むと好まざるとにかかわらず、女同士が暮らしや地域で関わりを持っていくことが生活をしていくうえで必要だからです。


なかでも「母娘」という絆は強く、もっとも消費に影響していきます。女性のヒットを調べていると、おおむね25年~30年サイクルで昔のヒットが再燃します。これは、女性の出産年齢と深い関わりがあると見ています。25歳~30歳で出産する女性たちの娘が15歳の時、母親は40歳~45歳のときです。さらにその上となると、65歳~70歳です。3世代で影響し合うことさえ少なくありません。


30年の時を経て繰り返される再ブーム


近年の例をあげると、タピオカブームでしょう。2019年ぐるなび総研の「今年の一皿」第1位は「タピオカ」、2020年は「テイクアウトグルメ」でした。タピオカの第一次ブームは1992年頃で、台湾など海外旅行に女性たちが出かけて新鮮なスイーツに刺激されました。タピオカ以外にもパンナコッタ、ティラミスなども同じ頃にブームとなっていました。

約30年を経て、「SNS映え」が追い風となって、大ブームとなっていったのです。このように、スイーツやフードに限らずに、ファッション、メイク、髪型などが、昔、流行したスタイルの進化版として再ブームを繰り返します。


母親が高校生、大学生の頃に楽しんだモノを娘と一緒に語り合えることが大きいです。

しかも今は、ネットで昔の映像や音楽に触れることも容易にできるため、よりブームが大きくなりやすいです。


過去のヒット商品がおしゃれな商品として人気を獲得


たとえば、富士フイルムの「写ルンです」という使い捨てカメラが発売されたのは1986年。2001年をピークに、スマホの普及などに伴い、その売れ行きは年々縮小してきました。


しかし近年、女子高校生の間で、アナログ感覚で写真を撮ることや、現像しなければどんな風に写っているかわからないというドキドキ感が人気となって再び火がついたのです。親にとっては修学旅行に持参した思い出の道具で、娘にとっては、レトロ感を感じさせるオシャレアイテムのひとつとなったのです。


また、アニメ「美少女戦士セーラームーン」のブームも繰り返されています。

「セーラームーン」は少女漫画雑誌「なかよし」(講談社)で、1992年から1997年まで連載されていた漫画です。25周年ではグッズが多数再発売され、その後も続いています。かつてセーラームーンに親しんだ40代の女性はもちろんのこと、知らなかった娘世代が、母親の影響を受けてファンになり、グッズを集めたり、アニメを読んだり、舞台や映画にもつながっていきます。


母親からの情報は最強の情報


資生堂のメイクアップブランド、マキアージュとセーラームーンがコラボした限定デザイン商品などは、予約開始と同時に注文が殺到するなど話題となりました。

女性消費者にインタビューをすると、「母のすすめで」「母が使っていたので」「母と一緒に」「娘と」「娘に」などのワードが、お決まりのように出てきます。


年代を問わず、どの世代からも出てくることで、いかに母娘の「血縁」が、「女縁」のなかでも最強の情報グループかがわかります。


最近は、女の子とママが一緒に使えるせっけんやシャンプーのブランドも増えています。女の子からすれば「少しおしゃまで、ママと同じ匂い」、ママからすれば「子どもに使える商品は、肌に優しくて環境にもよく、そしてゴミも少なくて済む」と、オーガニックやサステナブルな観点も重なって、女の子とママが相乗りした商品は、ちょっとしたブームが起きています。


親子の想い出から生まれるロングセラーブランド


母娘が共に愛用する商品は、ロングセラーになりやすいのです。

たとえば、牛乳石鹸の「カウブランド赤箱」の人気は根強いです。「#赤箱女子」は2018年に同社が発売90周年を迎えたキャンペーンとしてスタートしましたが、「#赤箱女子友」としてファン同士がつながるなど、拡がりは衰え知らずです。母から娘へ、娘から友へ、代々にわたって愛されるブランドの陰には親子の想い出からはじまっていることが多くあります。


次回は、5つの女縁について解説していきます。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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