top of page

真実は、暮らしの中にある。【第4回】ブランドは「伝えたこと」ではなく、「理解されたこと」で決まる

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

AI時代のブランドマネジメント ~AI時代になるほど生活者理解が重要となる~


女性視点マーケティング戦略コラム

ある企業のブランド担当者と話をしていたとき、私はこんな質問をしました。

「御社のブランドを、お客様は一言でどう説明していると思いますか。」


少し考えたあと、その方はこう答えました。

「安心感のある会社、でしょうか。」

そこで実際に生活者へ聞いてみると、返ってきた答えは違いました。


「品質は良さそう。」

「価格が高そう。」

「私には少し敷居が高い。」


企業が思い描いていたブランドと、生活者が理解していたブランドは、少しずつずれていたのです。

私は、このような場面を何度も見てきました。



ブランドは企業のものではない

ブランドというと、企業がつくるものだと思われがちです。


しかし私は、ブランドとは、企業の所有物ではないと思っています。

ブランドは、生活者の頭の中にあります。


生活者が

  • 「この会社は私に合っている。」

  • 「この会社は信頼できる。」

そう思った瞬間に、ブランドが生まれます。

だからブランドは、企業が決めるものではありません。

生活者が理解した結果なのです。



「知っている」と「理解している」は違う

企業は、認知度を測ります。

  • ブランド認知

  • 商品認知

  • 広告認知


しかし、認知と理解は違います。

  • 企業名を知っている。

  • CMを見たことがある。

  • 商品名を聞いたことがある。

これは認知です。


一方で、

  • その会社は何を大切にしているのか。

  • 自分にどんな価値を届けてくれる会社なのか。

ここまで理解されて初めて、ブランドになります。

私は、これから企業が測るべきものは、認知ではなく、ブランド理解ではないかと思っています。



女性はブランドではなく、「自分との関係」を見ている

HERSTORYでは35年以上、女性へのインタビューを続けてきました。

その中で気づいたことがあります。


企業は商品の魅力を語ります。

女性は、「それは私の暮らしにどう関係するのですか。」を考えています。


企業は性能を説明します。

女性は、「それで私は少しラクになりますか。」と考えています。


ブランドとは、企業が語る物語ではありません。

生活者が、「これは私の話だ。」と思える物語です。



AI時代は「ブランド理解」を確認する時代

AIは、企業の情報を整理します。

生活者は、暮らしの中で意味をつくります。


だから企業には、もう一つ必要な仕事があります。


それは、ブランドがどう理解されているかを確認すること

  • 企業が伝えたいブランド。

  • AIが解釈するブランド。

  • 生活者が理解するブランド。


この三つは、本当に一致しているでしょうか。

もし一致していなければ、どこかでブランドの意味が変わっています。

私は、これからのブランド戦略とは、広告をつくることではなく、ブランド理解を確認し続けることだと思っています。



HERSTORYが見てきたこと

私たちは35年以上、女性の暮らしを見続けてきました。

商品への不満より、企業への誤解のほうが多いことがあります。

企業は、「ここが強み」と思っている。

しかし生活者は、まったく違うところに価値を感じている。

逆に、企業が当たり前だと思っていたことが、生活者には一番魅力だった。


そんな場面を何度も見てきました。

だから私たちは、商品を評価する前に、ブランドがどう理解されているかを確認します。

そこから、本当のブランドづくりが始まると考えています。


おわりに

AI時代になって、ブランドはますます「意味」の時代になりました。

  • 企業が伝えたい意味。

  • AIが解釈する意味。

  • 生活者が理解する意味。

この三つが重なったとき、ブランドは初めて強くなります。


だから、ブランド戦略とは、「伝える仕事」ではありません。

理解を設計し、理解を確認し続ける仕事です。

次回は、「AIが進化するほど、生活者インサイトの価値は高まる」という、一見すると矛盾しているように見えるテーマについて考えてみたいと思います。



HERSTORY NOTE

  • ブランドは企業が伝えたことで決まるのではない。

  • ブランドは生活者が理解したことで形成される。

  • 認知と理解は異なる。

  • AI時代に企業が確認すべきなのは「ブランド理解」である。

  • ブランドの意味は、企業だけでは確認できない。女性インサイトを通して初めて、暮らしとの接点が見えてくる。




筆者プロフィール


日野佳恵子

女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役社長一般社団法人女性のあしたアカデミー 代表理事

島根出身。1990年創業。女性の購買行動とライフコースの関連がマーケティングに影響を及ぼすことに着眼し、女性インサイト理論を独自開発。学習院大学、成城大学、大阪公立大学の専門教授らと「男女の消費行動研究」を発表している。クライアントは生活消費財を中心にメーカーから小売まで幅広く、「女性顧客起点の専門家」として多数の企業のアドバイザーを行う。


<代表的な受賞ほか>

経済紙Forbes Japan「日本の社長100人」、日経WEBCOMPANYが選ぶ「21世紀 時代のキーパーソン51人」、日経ウーマン・ウーマン・オブ・ザ・イヤー2003リーダー部門第9位、2013世界女性リーダースティビーアワード銀賞、日本の残したい企業100社、2021Forbes Woman Award300人未満全国第2位など個人、企業活動と両面で広く評価されている。




下記よりメールマガジンの登録をいただくと、最新記事の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。




<連載ページ>

【第5回】AIが進化するほど、生活者インサイトの価値は高まる
【第6回】暮らしを見なければ、ブランドは理解できない
【第7回】AIに選ばれる企業より、人に理解される企業へ
【第8回】一次データがブランド資産になる時代
【第9回】ブランドは、生活者との対話で育つ
【第10回】HERSTORYが考えるAI時代の生活者理解

bottom of page