【第7回】AIに選ばれる企業より、人に理解される企業へ
更新日:9月18日
AI時代のブランドマネジメント ~AI時代になるほど生活者理解が重要となる~

ここ一年ほどで、
「AI対策」という言葉を耳にする機会が急激に増えました。
AEO、LLMO、GEO、AI検索最適化。
企業の方からも、「まず何から始めればよいのでしょうか。」という相談をいただくことが増えています。
しかし、そのたびに私は、一つだけお伝えしていることがあります。
AI対策は目的ではありません。
目的は、生活者に理解されることです。
AIは新しいお客様ではない
AIという言葉を聞くと、
AIに評価される。
AIに選ばれる。
AIに最適化する。
そんな話になりがちです。
しかし私は、AIは新しいお客様ではないと思っています。
AIは、生活者の代わりに情報を整理する存在です。
生活者が安心して選べるように、情報を集め、比較し、説明してくれる存在です。
だから、企業が向き合う相手は、今も昔も変わりません。生活者です。
AIが紹介したくなる企業とは
では、AIはどんな企業を紹介するのでしょうか。
私は毎日のようにAIへ企業について質問しています。
その中で感じることがあります。AIは、広告の上手な会社を紹介しているのではありません。
ホームページが派手な会社でもありません。
AIが説明しやすい会社です。
つまり、誰のために存在し、どんな価値を届け、何を約束している会社なのかが、一貫している企業です。
企業の言葉が揃っている会社ほど、AIも説明しやすくなります。
AI対策より先にやるべきこと
私は、企業が最初に取り組むべきことは、新しいツールを導入することではないと思っています。
まず、私たちは何者なのか。誰のための会社なのか。どんな暮らしを支えたいのか。
その言葉を、社内で一致させることです。
ホームページ
会社案内
営業資料
採用ページ
SNS
プレスリリース
すべてが、同じブランドを語っているでしょうか。
AIは、企業全体を一つのブランドとして理解します。
だから企業も、一つのブランドとして発信しなければなりません。
情報量より、信頼される情報
これまでインターネットでは、情報量が多いことが強みでした。
しかしAI時代になると、もう一つ重要なものがあります。
それは、「信頼できる情報かどうか」ということです。
誰が調べたのか。
どのような根拠があるのか。
社会との接点があるのか。
第三者の評価があるのか。
AIは、こうした情報全体から、企業を理解していきます。
だからこれから企業が積み重ねるべきものは、広告より、信頼される情報資産です。
HERSTORYが考えるAI時代のブランド
私たちは35年以上、女性の暮らしを見続けてきました。
ブランドは、広告だけでは育ちません。商品だけでも育ちません。
生活者が、「この会社は私たちの暮らしを理解している。」
そう感じた瞬間から、ブランドは育ち始めます。
AI時代になっても、この本質は変わらないと思っています。
むしろ、情報があふれる時代だからこそ、企業の姿勢や考え方が、これまで以上に問われるようになっています。
AI時代に企業が積み重ねるもの
私は、AI時代のブランドとは、検索順位ではないと思っています。
企業が積み重ねてきた、一つひとつの言葉です。
生活者への約束。
社会への姿勢。
暮らしへの理解。
その積み重ねが、AIにも、生活者にも、ブランドとして理解されます。
AI対策とは、特別な技術ではありません。
ブランドの原点に戻ることなのです。
おわりに
企業が目指すべきなのは、AIに評価されることではありません。
生活者に、「この会社は私のことを理解している。」そう思ってもらうことです。
その結果として、AIにも理解される。
私は、この順番がこれからますます重要になると思っています。
次回は、「一次データがブランド資産になる時代」について考えてみたいと思います。
AIが答えを整理する時代だからこそ、企業自身が持つ一次情報の価値は、これまで以上に高まっていきます。
HERSTORY NOTE
AI対策は目的ではない。生活者に理解されることが目的である。
AIは企業全体を一つのブランドとして解釈している。
AIが説明しやすい企業とは、一貫したブランドの意味を持つ企業である。
AI時代に企業が積み重ねるべきものは、広告ではなく信頼される情報資産である。
ブランドとは、「この会社は私たちの暮らしを理解している」と生活者に感じてもらうことで育つ。
筆者プロフィール

日野佳恵子
女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役社長一般社団法人女性のあしたアカデミー 代表理事
島根出身。1990年創業。女性の購買行動とライフコースの関連がマーケティングに影響を及ぼすことに着眼し、女性インサイト理論を独自開発。学習院大学、成城大学、大阪公立大学の専門教授らと「男女の消費行動研究」を発表している。クライアントは生活消費財を中心にメーカーから小売まで幅広く、「女性顧客起点の専門家」として多数の企業のアドバイザーを行う。
<代表的な受賞ほか>
経済紙Forbes Japan「日本の社長100人」、日経WEBCOMPANYが選ぶ「21世紀 時代のキーパーソン51人」、日経ウーマン・ウーマン・オブ・ザ・イヤー2003リーダー部門第9位、2013世界女性リーダースティビーアワード銀賞、日本の残したい企業100社、2021Forbes Woman Award300人未満全国第2位など個人、企業活動と両面で広く評価されている。
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