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真実は、暮らしの中にある。【第5回】AIが進化するほど、生活者インサイトの価値は高まる

  • 11 分前
  • 読了時間: 5分

AI時代のブランドマネジメント ~AI時代になるほど生活者理解が重要となる~


女性視点マーケティング戦略コラム

最近、講演やセミナーのあとで、よくこんな質問を受けます。

「AIがここまで進化したら、生活者調査は必要なくなるのでしょうか。」

確かに、そう思われるのも無理はありません。


生成AIは膨大な情報を読み込み、市場を分析し、競合を比較し、新しい企画まで提案してくれます。

私自身も毎日のようにAIを使い、その能力に驚かされています。

しかし、その一方で、35年以上女性の暮らしを見続けてきた私は、まったく逆のことを感じています。


AIが進化するほど、生活者インサイトの価値は高まる。

そう確信しています。



AIは「答え」を探す

AIは本当に優秀です。

  • 市場を分析できます。

  • 競合を比較できます。

  • 過去の成功事例を整理できます。

  • 仮説も立てられます。

つまり、「今ある情報」から、もっとも可能性の高い答えを導き出すことができます。

これは企業にとって大きな武器です。



しかし、AIは「まだない問い」を知らない

一方で、生活者の暮らしはどうでしょう。

  • 昨日まで感じていなかった違和感。

  • まだ言葉になっていない不便。

  • 誰にも話していない迷い。

「こんな商品があればいいのに。」

そんな小さな変化は、まだインターネットには存在していません。

つまり、AIは知らないのです。



HERSTORYが見つけてきたもの

私たちは35年以上、女性へのアンケートとインタビューを続けてきました。

その中で見つけてきたものは、答えではありません。


問いです。


例えば、「時短したい。」という声があったとします。

AIは、「調理時間を短くする商品」という答えを考えるでしょう。

しかし、生活者に話を聞き続けると、違う言葉が聞こえてきます。

「子どもとゆっくり夕食を食べたい。」

「家族にイライラしたくない。」

「一日を笑顔で終えたい。」


つまり、本当に欲しかったのは、時短ではありません。家族との時間でした。

ここで初めて、企業がつくるべき商品の意味が変わります。



インサイトとは答えではない

私は、インサイトとは分析結果ではないと思っています。

生活者自身も気づいていなかった「本当はこうしたかった」という気持ちです。

数字だけでは見えません。

検索でも見つかりません。

AIもまだ知りません。


だからインサイトとは、まだ世の中に存在していない一次情報なのです。



AIと生活者は競争相手ではない

ここは誤解してほしくありません。

私は、AIと生活者を比較したいわけではありません。

むしろ、これからの商品開発は、AIと生活者が一緒になる時代だと思っています。


まずAIが、市場を分析する。競合を見る。仮説を立てる。

そして、その仮説を生活者に聞く。

暮らしの中で確かめる。


私は、これからのマーケティングは、この順番になると思っています。

つまり、AIか生活者か、ではありません。AIと生活者です。



HERSTORYの役割

HERSTORYは、35年以上、女性の暮らしを見続けてきました。

私たちは、アンケート会社ではありません。インタビュー会社でもありません。

私たちの役割は、AIが立てた仮説を、暮らしの中で確かめることです。

そして、まだ誰も気づいていない新しい問いを見つけることです。

市場は、答えから生まれません。問いから生まれます。

私たちは、その問いを見つける仕事を続けてきました。



AI時代に企業が持つべき資産

AIは、公開されている情報を学習します。

だからこそ、企業には、まだ世の中に存在しない情報が必要になります。

  • 生活者の声。

  • 暮らしの変化。

  • まだ言葉になっていない願い。

これらは、他社も持っていない。AIも持っていない。企業だけの資産になります。


私は、AI時代とは、「情報を集める競争」ではなく、「まだ存在しない情報を生み出す競争」

になると思っています。



おわりに

AIは、答えを導き出す力を持っています。

しかし、その答えの出発点になる問いは、暮らしの中からしか生まれません。

だから私は、AI時代だからこそ、生活者インサイトは、これまで以上に価値を持つと考えています。

次回は、「暮らしを見なければ、ブランドは理解できない」というテーマで、HERSTORYが35年以上研究してきた「暮らし」という視点について考えてみたいと思います。



HERSTORY NOTE

  • AIは公開されている情報から答えを導き出すことに優れている。

  • インサイトとは、まだ言葉になっていない生活者の問いである。

  • AIは仮説をつくることができる。しかし、その仮説を確かめられるのは生活者だけである。

  • AIか生活者か、ではない。AIと生活者である。

  • HERSTORYは、女性インサイトを通して、まだ世の中に存在しない問いを見つける会社である。




筆者プロフィール


日野佳恵子

女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィ 代表取締役社長一般社団法人女性のあしたアカデミー 代表理事

島根出身。1990年創業。女性の購買行動とライフコースの関連がマーケティングに影響を及ぼすことに着眼し、女性インサイト理論を独自開発。学習院大学、成城大学、大阪公立大学の専門教授らと「男女の消費行動研究」を発表している。クライアントは生活消費財を中心にメーカーから小売まで幅広く、「女性顧客起点の専門家」として多数の企業のアドバイザーを行う。


<代表的な受賞ほか>

経済紙Forbes Japan「日本の社長100人」、日経WEBCOMPANYが選ぶ「21世紀 時代のキーパーソン51人」、日経ウーマン・ウーマン・オブ・ザ・イヤー2003リーダー部門第9位、2013世界女性リーダースティビーアワード銀賞、日本の残したい企業100社、2021Forbes Woman Award300人未満全国第2位など個人、企業活動と両面で広く評価されている。




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<連載ページ>

【第5回】AIが進化するほど、生活者インサイトの価値は高まる
【第6回】暮らしを見なければ、ブランドは理解できない
【第7回】AIに選ばれる企業より、人に理解される企業へ
【第8回】一次データがブランド資産になる時代
【第9回】ブランドは、生活者との対話で育つ
【第10回】HERSTORYが考えるAI時代の生活者理解

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