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クリエイティブにおける男女の視点とコミュニケーションの違い

市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.79

女性視点マーケティング戦略コラム

女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第79回目は、男女のクリエイティブに対する視点の違いについて解説しています。


HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。

 

女性は対人意識。男性は対物意識


女性の行動は、常に対人意識です。誰かとあたかも会話をしているような感覚になるクリエイティブをつくるのがいいです。

キャッチコピーを2020年12月某日の段階で、男女ファッション雑誌で比較してみました(雑誌販売サイトFujisan.co.jpを利用。すべて2021年1月号)。  



男性ファッション雑誌の特集タイトルは次の通りです。

  • 「一点“得意”主義がお洒落を変える!」(「Safari」)

  • 「今こそ! テンションあがる買い物」(「メンズノンノ」)

  • 「大人の服、お金をかけるところ、抜くところ」(「UOMO」)

  • 「ギャップ感ある男に魅せる バッグと時計」(「SENSE」)


女性ファッション雑誌の特集タイトルは次の通りです。

  • 「真冬のレディStyle は、もっと可愛くもっと暖かくできる♡」(「美人百花」)

  • 「ファッションでも、メイクでも。20代の冬こそ〝小顔”が希望だ♡」(「MORE」)

  • 「おしゃれもカラダもリスタート すっきり身軽に 捨てる・着やせる・痩せる!」(「BAILA」)

  • 「私たち、もっと『スカート上手』になりたい!」(「マリソル」)


比較してみて、いかがでしょうか。少しだけ整理してみます。


女性ファッション雑誌の特徴①:特集タイトルの語尾について


女性雑誌の特集タイトルの最後は、「できる♡」「希望だ♡」「痩せる!」「なりたい!」というように、自分の希望や思いを、こちら側にいる友達に話しかけているような終わり方が多いです。♡や感嘆符なども多く使われています。


女性ファッション雑誌の特徴②:特集タイトルの書体


女性雑誌は、明朝体や角丸、手書き風、大中小サイズ変更など、タイトルの文章の中に細かな変化があります。部分的にクレパスで入れたようなラインを引いたり、波線を入れたり、吹き出しをつけたりと、文章そのものから声の抑揚や気持ちが伝わってくるようなデザインになっています。


女性ファッション雑誌の特徴③:言葉遣い


まるで誰かと話しているかのような会話風の表現が多く使われています。主語が「わたし」や「私たち」といった感覚で書かれており、共感を求めるように、「でしょ」や「あなたもそう思わない?」といったニュアンスが投げかけられているような言葉遣いが特徴です。


女性ファッション雑誌の特徴④:表紙モデル写真


女性雑誌では、至近距離で顔のドアップが多く、カメラ目線で読者と向き合い、微笑みかけながら、まるでおしゃべりをしているかのような距離感になっています。また、日常にありそうなポーズや動きも多く見られます。


これに対して、男性誌では逆のパターンが多く見られます。


女性は、クリエイティブ表現からも疑似コミュニケーションが有効であることが、女性ファッション誌の表現からも伺えます。


「心の理論(ミラーニューロン・システム)」で読み解く女性の感情とコミュニケーション


以前書いた記事の中の『「男女の脳は本当に違うのか?」の実証』で、女性は、「心の理論」と呼ばれる能力、ミラーニューロン・システムがあると書きました。これは、情報を見ながら、他者に起きた出来事をあたかも自分に起きたかのように感じる能力があるというものです。


まさに女性ファッション雑誌のクリエイティブを見ていると、「向こう側にいる人と読み手の自分が共感している感覚」が重要視されていることがわかります。


販促物の制作やサイトには、こうした女性特有のコミュニケーションを発信する必要があります。知らなければ大きなロスをすることになります。改めて確認しましょう。


女性視点の重要性と効果的なコミュニケーション戦略


女性視点は、商品だけが並んでいても「気に止まらない」から「見ない」のです。


モノを売りたい時には、人の顔、自分と類似の環境にありそうな女性がこちらを向いている、または、関心を持ちやすい赤ちゃんや子ども、時にはペットなど、「誰を幸せにするのか」を一瞬で想像できるクリエイティブとメッセージの力を高めてほしいと思います。


人の顔のない商品バナー広告よりは、顔のあるバナー広告を見るのが良いです。さらには、バナー広告よりは、より身近な女性が紹介しているSNSなどのほうがグッと信頼しやすいでしょう。女性に向けたクリエイティブのコミュニケーションは、すべてが「対話」だと考えることが大切です。



次回は、購入を促す3つの催事についてお話しします。



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日野佳恵子

株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役  1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。


【著書】

「クチコミュニティ・マーケティング」

「女性たちのウェルビーイング」

「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。

 

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