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- インタビューを成功させるリアルな反応を捉える方法(後編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.66 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第66回目は、お客様が本当は何を求めているのかを知るインタビュー方法について解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 インサイト(潜在的な購買欲求の核心)をつかむ聞き出し方 デジタルは単なるツールです。 私たちは生身の人間でリアルな暮らしをしています。商品を受け取り、箱を開け、取り出して、使用し、評価をするという一連の流れは、情報ツールがなんであったとしてもリアルに行われています。 意識的に、直接、生身のお客様に会う機会を設けなければ、お客様の本心を知ることができず、結局はサービスが低下し、顧客離れが起きてしまいます。お客様にとって何が大切なのか、その潜在的な購買欲求の核心部分を常に把握できる人材を育てることなくして、企業は生き残ることができません。お客様インタビューからインサイトをつかむための聞き方の一例を明記します。 インサイトインタビューの例 客:「黒のジャケットが好きです」 インタビュア: NG「そうなんですね。黒はいろいろ合わせやすいですしね」(勝手に決めて言わない) OK「どうして黒のジャケットがいいのですか?」 客:「服選びに悩まなくていいですから」「ほとんど黒が中心です。カバンや靴も。合わせるのが楽だし」 インタビュア: NG「わかります。同じ色だとそのまま着てすぐに出かけられますよね」(意見を言わない) OK「選んだり組み合わせたりが楽というのがいいんですね」(おうむ返しで確認) 「楽であれば、黒でなくてもいいんでしょうか」(手段なのか目的なのかを確認) 客:「そうですね。営業職でお客様のところに直接行くこともあるので、相手に対して失礼のない印象は心掛けています。それで無難な黒になってしまいます。あと、それ以外の色や柄をどう短時間で組み合わせればいいのかわからないし、黒ってセンスがなくてもごまかせますよね」 インタビュア: NG「やっぱりセンスはよく見られたいですよねー」(「センスよく」とは言っていない) OK「パッと朝、自分に似合う服が、センスよく全身コーディネートして用意できたらうれしいということでしょうか」(センスよいコーディネートを短時間に得たい、それが理想のようだ。さらに欲求度を確認) 客:「そりゃ、最高ですよ。センスよく好印象に見られたいけど、それができないし考えるだけで面倒だから黒になっているので」(黒は手段であって目的ではないと確認) 会話を掘り下げると見えてくる心の声 こうして個別インタビューで会話を掘り下げていくと、次のような潜在的な心の声が見えてきます。 購入した物(購買):黒のジャケット 顕在ニーズ(理由):他の物と合わせやすい インサイト(心理):短時間で、自分の思うイメージ(好印象)のトータルセンスの服を着て出かけたい チャンス(潜在ニーズ):本当に購入したい物は、黒のジャケットではない。 ①短時間で選べる、 ②センスの良いコーディネート こうすると、新しい提案アイデアがわきやすくなります。 このケースの場合ならば、事前に本人の体形や顔立ちの写真を送ってもらい、AIスタイリストが自社ECサイトの中からジャケット、ブラウス、スカート、バッグ、アクセサリーなどをトータルコーディネート提案し、本人がチェックすれば、それらの商品が自動的にセットされた状態で送ってくるといったサービスはできないか、といったアイデアではどうでしょうか。 トータルセットは複数用意し、その中での着まわしや組み合わせも提案するシステムにしておけば、本人の買い物履歴と好みの傾向もデータ化できます。おすすめの冬のトータルコーディネートを先手で提案することも可能になるでしょう。 実際に、この類似サービスはネット上で生まれてきています。 言葉のニュアンスを読み解くインサイトインタビュー インサイトは、発した言葉そのものではなく、その言葉の前後に含まれているニュアンスや情感を捉えることで本質が見えてきます。 その本質をつかむためには、質問者が自分の思い込みで発言したり、決めつけた誘導の質問をしないことが重要です。ぜひ職場で、2人一組になってこの「インサイトインタビュー」を練習してみてください。身近な仲間の知らなかった本音が、スタッフ同士でも発見できるかもしれません。 次回は、女性の超現実主義の購買行動について詳しく解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- インタビューを成功させるリアルな本心を捉える方法(前編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.65 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第65回目は、インタビューからどのようにリアルな本心を捉えていくのかを解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 インタビューの時に気を付けたいこと 女性はクラスターによって価値観がまったく異なるため、直接インタビューを行う際に手を抜いてはいけません。いつでも常に「お客様のことはお客様にしかわからない」という姿勢を持つようにします。 顧客イメージが複数ある場合には、必ず複数のクラスターの女性にお話を伺うようにしましょう。その仮説が合っているかどうかは、複数の方にお聞きすれば概ね答えが出ます。私自身、自分とは異なるクラスターの方の発言に対して、目から鱗が落ちるような経験を何度もしてきました。 非言語リアクションも重要な理由 これを行わずに商品開発や販売をしている企業は、恐ろしすぎると思っています。お客様を集めたグループインタビューを行った際には、口数の多い方と少ない方がいるため、非言語のリアクションにも注目するようにします。 「わー」「きゃー」といった感嘆の声や、手を叩いて喜び合う非言語のリアクション、表情など、どこでどのように盛り上がったのか、話題と様子を重視して見ましょう。 インタビューの議事録を読むだけでは、大きな失敗を招く可能性があります。女性のインサイト(潜在的な購買欲求)は、文面ではわからない非言語にこそ見えることが多いです。 行間を読む力が重要となるのです。できるだけインタビュアの近くで表情やリアクションを観察します。どんな言葉や話題に反応したのか、そのリアクションの大小、さらに周囲の女性たちの反応や盛り上がり方にも注目します。 お付き合いの共感か本心なのかを見極める グループインタビューを実施した場合、後からもう一度、個別インタビューも行うことが望ましいです。女性は共感が得意であるため、グループでの会話では、相手に気を遣っておつき合いで共感の態度を示すことがあります。 「私もいいと思います」「〇〇さんと近いです」と言ったものの、実は「少し違うけど言いにくかった」という言葉が後から出てくることがあるからです。本当に共感したのか、それともおつき合いで見せた共感なのかを見極める必要があります。 また、複数の女性に意見を聞いた際に、バラバラの意見が出たとしましょう。 この時、もっとも参考にすべきは、顧客に近いイメージの人の意見です。 熱量や言葉のニュアンスも重要です。「まあいいんじゃない」「あれば使う」ではなく、「え、それすぐほしい」「いつ発売なんですか」など、前のめりになる意見は関心度が高いです。絶対にあると助かる、絶対にあったらほしい、と思ってくれた女性がどんな人だったのかを、まずはその一点に集中します。 相手の気持ちを掴むことが得意ではないデジタル世代の若者 最近のクライアントからのご相談には、「お客様に興味を持たない」「人の気持ちが読み取れない」というスタッフの育成についての悩みが増えています。 特に、EC関連ビジネスの分野で多く見られます。 「顧客は中高年で、スタッフは若い人が多い。仕事中はずっとイヤホンをしていて、休憩時間はフレックスでバラバラのため、ランチもひとり。個々に話しかけても表情が乏しく、リアクションが薄い。どのように指導し、どうしたらお客様の気持ちが読めるようになるでしょうか」という相談です。 20代、30代はデジタルが当たり前の世代です。 SNS上では微妙な空気を読み取れているものの、絵文字やイラスト、写真を通じて「感じる」ことが得意で、見ている自分はデジタルに向き合っているため、視点がスマホに集中し、表情やリアクションを返し合うコミュニケーションはしていません。そのため、顔を見ても相手の気持ちをつかむのが得意ではないのです。 次回は、後編でインサイトインタビューについて例を挙げながら詳しく解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性視点マーケティングの実践トレーニング
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.64 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第64回目は、「誰のため」なのかを明確にし、誰に共感されるのか「共感者」を見つけ出すことについて詳しく解説していきます。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 女性マーケティングの6つの実践ステップ 女性視点マーケティングを誰もが理解し、実践に活かせるようにしたいと考えています。女性消費者は確かに複雑で、当事者でなければわからないことも多いですが、それでも理解しようと努め、誰もが「共に」という他者を思いやる気持ちが広がれば、もっと優しい社会になれる気がします。多くの方が女性視点マーケティングの実践者となり、新しい視点や価値観が広がってほしいと願っています。 今回、具体的な実行レベルについてお伝えいたします。ここでは、より実践的にマーケティングプロセスに合わせて、女性視点特有の部分を6つのステップでお話ししたいと思います。まず、マーケティングプロセスを次の6つに分けます。これは一般的なマーケティングプロセスの大枠と同じです。これらを今までお伝えしてきたことを意識しながら進めていきましょう。 ①ゴール設定→誰のため ②情報収集→共感者を探す ③顧客インサイト→共鳴ポイントを探す ④企画立案→体感、実感を高める ⑤ブランディング→幸せを届ける ⑥プロモーション→クチコミで考える 【実践】「誰のため」なのか、ゴール設定をしよう 誰のために、何を、どうしてつくるのか、売るのかを、事前に関係プロジェクトメンバーでしっかりと話し合ってください。「こんな技術があるから活かせないか」「こんな製品があるから何かに使えないか」といったプロダクト志向から始めても構いませんが、その機能や要素が「誰にとってうれしいのか」を徹底的に考え抜いてください。 「誰かの大変さを、自分たちの得意分野で解決する」ことをゴール設定として、討議を進めていただきたいと思います。この段階での「誰か」は複数存在していても構いません。 「誰のため」なのか、はこのくらいにして、さらに重要な次の実践に進みたいと思います。 【実践】誰に共感される?その「誰か(共感者)」を探そう その「誰か」という「共感者」を探しましょう。 直接のインタビューや対象クラスターのアンケートなどを行ってください。業界のマーケットボリュームや市場規模、店舗で言えば商圏内人口などのデータは、どこからでも集めることができるので、基本情報としては必要です。しかし、女性視点マーケティングでもっと大切なのは、「誰に共感されるのか」という点です。その「誰か」を見つけ、「共感ポイント」に響くかどうかが重要です。 特に今の時代、SNSなどによって「共感」がなければ、商品は売れません。目的買いの商品は、いくらでもAmazonやメルカリで調達でき、最安値も簡単に調べることができます。 本当に支持されるためには、人々のリアリティを把握することが重要です。数値やデータだけを見ているだけでは、そうした感覚を感じ取ることはできません。女性視点マーケティングでは、クラスターが異なるだけで、興味や関心、トレンドも異なるとお伝えしてきました。「みんなに」と思っていると、誰にも共感されなくなってしまいます。 「誰か(共感者)」が分からない時は、自分のためで考えてみる 「誰か」がわからない時は、「自分のため」を考えるほうが早いです。 ベンチャー企業は、自分の体験や経験から創業したケースが多く見られます。たとえば、「6つの共」で取り上げたスープストックトーキョーやDEAN & DELUCAなどは、「自分たちがいいと思うものをつくる」という強いポリシーと意志を持っています。周囲の意見に振り回されることなく、それでいて多くのお客様との絆を大切にしています。ヒット商品は「自分の経験から」生まれることが一番強いです。 もし自分に強い思いがあるならば、自分自身が「誰か」の位置に立って、その思いに共感するクラスターが最初のお客様になることもあります。顧客の立場を考える前に、「自分や自分の周り」を顧客イメージに置き換えて、できるだけ自分ごとにして情報を集めてみましょう。 次回は、対象クラスターに直接インタビューする場合について解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性視点マーケティングを成功させるための「共創」の心得
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.63 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第63回目は、女性視点マーケティングを成功させるための「共創」について解説していきます。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 「共創視点」で築く女性とのマルチチャネルコミュニケーション クチコミュニティ理解を通じて届けたいのは、常に女性と企業との「共創視点」を大切に持ち続けることです。「共」に女性顧客と「関わっていく」ことです。その関わり方にはいろいろな方法があります。マルチチャネル的な設計も大事です。女性は、さまざまな場面で接点を求めるからです。 その場面ごとに「快」「不」があり、あらゆる場面の「快」「不」を確認し、その障壁を取り外すために自分たちの意見を聞いてほしいと思っています。自分の意見を聞いてもらえることや、何かに少しでも活かされることがあれは、とても幸せを感じます。「誰かのためになるのなら」と、積極的に「共」に参加するのです。 自分の目を通して喜ばれることをしようとする女性の心理 女性視点は「自分と自分以外の人々」が対象となります。女性の視点は、自分の目を通じて周囲に喜ばれることをしようとします。 マーケターにおいてこんなありがたい存在はないでしょう。女性視点マーケティングに取り組むことそのものが、子どもやシニア、そして男性にも優しい社会にすることができるのです。その視点は、日常的な「生活と営み」の主役だからこその意見を持っています。 瞬時に感じ取り判断する「快」と「不快」 商品やサービス、広告や情報、人の顔色を見て、瞬時に「感じ取る」のは次の「6快」「6不」です。 「6快」:気持ちいい、心地いい、かわいい、素敵、おしゃれ、うれしい 「6不」:不満、不安、不足、不便、不快、不利 女性にとっては、競合より優れているとか、最新モデルを手に入れることがゴールではありません。「これは誰にとって役立つのか」「これは子どもに優しいのか」「これは年老いた母が使えるのか」といった視点です。 それがクリアなら買うし、リピートもするし、感動してクチコミもします。それがクリアできないなら買わないし、リピートしないし、問題点をクチコミ(よくないところをみんなに知らせる)します。 快・不快を見極める女性視点の活用 女性視点マーケティングで重要なのは、そんなソーシャル的な視点を持った彼女たちのお眼鏡にかなう商品・販売を行なおうと思う姿勢そのものです。モノをどんどんつくり出すことより、以前の商品をよりよく改善していくことも大切です。 使い勝手、重さ、形、空間、音楽、デザイン、もてなしなど、そのすべてに「快」「不快」はあります。 それを一瞬にしてつかみ、「ここはシニアに危険」「ここはベビーカーが通れない」「これは子どもが口にするとよくない」という要素を発見しようとします。五感と第六感を駆使して全身でとらえるセンサーなのです。 女性の「快」「不」は、日常のありとあらゆる場面で求められます。女性の視点を活用すれば、地域に優しい、子育てに優しい、シニアに優しい、外国人に優しい、男性に優しい、そしてダイバーシティ(多様性)な意識と行動が社会に広がります。 女性の「快」は、みんなの快になること。 女性の「不」は、みんなの快にならないこと。 次回は、女性視点マーケティングの実践トレーニングについて解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性が離れないクチコミュニティにするために重要な「学」「遊」「働」「交」の4つの切り口(後編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.62 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第62回目は、事例を交え、「学」「遊」「働」「交」の要素を取り入れた女性が集まるコミュニティについて解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 働く女性のための新たなカフェスタイル 昨今、働く女性の増加により、昔では考えられなかったような「場」としてのカフェが増えています。たとえば、コインランドリーです。 特にマンション暮らしの核家族が増えると、気軽に大型の布団や毛布などをベランダに干すことができない家庭も増えています。ドラム式洗濯機や風呂場に乾燥機能が備わっていても、家族の大型洗濯物となると家では難しいため、近年、コインランドリーの利用者として女性が急増しています。 女性をターゲットにした快適なコインランドリー空間 少しでも快適に女性が過ごせるようにと、おしゃれなコインランドリーが増えています。 まるでカフェのような空間で、雑誌が置かれていたり、洗濯用品などの雑貨が販売されていたりします。また、Wi-Fiが完備されており、仕事をしながら洗濯が終わるのを待つことも可能です。フリマアプリの「メルカリ」と提携しているランドリーも増えており、洗濯が終わったらその場で「メルカリ」に出品手続きができるという流れもできています。 コインランドリーを拠点にワンストップでさまざまなことができるようになっています。こうした場所は、あっという間に若い女性やママたちのクチコミで集合場所となっています。 喫茶ランドリーの事例から見る「学」「遊」「働」「交」 なかでも「喫茶ランドリー」を企画する株式会社グランドレベルは、地域にある古いビルや団地、小売店の1階などを再生し、地域の拠点づくりに貢献しています。店内は業務用のおしゃれな洗濯機が設置されています。 喫茶を併設しているため、レジでお金を払ってドリンクや軽食を楽しむことができ、カフェとしても十分に楽しい空間となっています。洗濯機のある空間は「家事室」と呼ばれており、大きなテーブル、アイロン、ミシンなどが置かれています。このテーブルを中心に、近所の顔見知りの方々が集まり、地域のママさんたちがパン教室や洋裁教室を次々と開催しています。ここで作った商品は、店内で販売することもできます。 今や地域のおしゃれな民間公民館の様相で、シニア層からサラリーマンまでさまざまな人たちがこの空間を活用して、気軽に交流できる場となっています。ここにはしっかりと「学」「遊」「働」「交」の要素が揃っています。 喫茶ランドリーから見る「学」「遊」「働」「交」 「学」は、地域の女性たちを中心にカルチャー教室のような場として機能しています。 「遊」は、カフェとしてお茶やお菓子、軽食を楽しみながら談笑でき、雑誌や雑貨も楽しめます。時々、音楽会などのイベントも開催されます。 「働」は、教える側にもなれる機会があります。ミシンの使い方、アイロンがけ、カルチャーのお誘いなどなど、自発的に地域の人たちが関わっています。 まさに「喫茶ラインドリー」には、「交」があります。「元気?」「久しぶりね」と店のスタッフとお客様だけでなく、客同士がここで会話し、いつしか地域での知り合いも増えていきます。 地域の交流拠点として浸透していった喫茶ランドリー 「喫茶ランドリー」は、地域交流拠点として浸透していきました。現在、あちらこちらから注目され、スーパー、団地など各地に広まっています。 そこには必ずお世話好きの主婦たちが存在します。「いいわよ」「家から持って来るから」「私たちがするから」「手伝うわ」など、自然に会話の生まれる「場」はこれからの時代にさらに求められていくでしょう。 女性の「快」は、学・遊・働・交がある場所に集えること。 女性の「不」は、ただモノがあるだけの場所に行くこと。 次回は、女性マーケティングを成功させるための共創の心得について解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性が離れないクチコミュニティにするために重要な「学」「遊」「働」「交」の4つの切り口(前編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.61 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第61回目は、クチコミュニケーションを築くために重要な4つの要素を具体的に解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 クチコミュニケーションに重要な4つの要素 クチコミュニティ・マーケティングを2001年から提唱してきた弊社は、今でも多くの「企業と女性のコミュニケーション」に対してアドバイスを行なっています。 近年は、大がかりなコミュニティサイトなどを作らなくても、SNSの運用だけで十分に女性たちとコミュニケーションが取れるようになりました。 ここで私たちがクチコミュニティを運営するための設計上、もっとも重視している「学」「遊」「働」「交」という4つの切り口について説明します。これは、コミュニティを運営する時に、落としてはいけない切り口です。 生活にかかわる「学」 「学」とは、生活情報が得られるコンテンツのことです。日常生活のあらゆることにアンテナを張り巡らさなければならない女性にとって、生活に関わる「学」の情報が提供されることは、とても喜ばれます。たとえば、パンを売りたいサイトであれば、パンのおいしい食べ方などのレシピ提供や、パンの選び方や上手な保存方法などが挙げられます。 ささやかな楽しみの「遊」 「遊」とは、お楽しみコンテンツのことです。たとえば、占い、ゲーム、くじ引き、ノベルティ、懸賞、プレゼント、ポイントアップなどです。ささやかでもお楽しみがあることはとてもうれしいものです。気分転換にもなりますし、忙しい女性にとっては、瞬間的に気分が晴れる時間を持つことは大いに救いになります。 人の役に立ちたい「働」 「働」とは、お役目を与えることです。女性は、人の役に立ちたいと思っています。たとえば、新商品に意見を出したり、試食会モニターをしたりすることが大好きです。周囲の友達に意見を聞いてくれたり、クチコミをしてくれたり、SNSに書くこともしてくれます。 交流の機会を与える「交」 「交」とは、交流の機会を用意することです。女性は、女性同士での経験や悩みを聞いて、共感し合いたいのです。自分の悩みと同じ人がいれば、どうやって解決できたのかを知りたいのです。好きなアイドル、夫婦、恋愛、子育て、料理など、話題は尽きません。 この4つの要素を意識してコミュニティサイトやファンクラブの運営を行なうと、女性は参加意欲が高まり、離脱しにくくなり、友達の紹介も増えます。 女性の「快」は、コミュニティの中で「学」「遊」「働」「交」が得られること。 女性の「不」は、コミュニティの中で、それらの情報や体験が得られないこと。 次回は、後半で、「学」「遊」「働」「交」について事例を交えながらさらに詳しく解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- クチコミュニティサイト事例と企業の成長(後編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.60 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第60回目は、顧客との深い関係を築き、信頼を勝ち得た「ウィメンズパーク」の事例について解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 ベネッセコーポレーション「ウィメンズパーク」の事例 女性たちの悩みを共有し合うサイトと言えば、老舗中の老舗となったウィメンズパークです。 http://women.benesse.ne.jp/ 媒体資料には「同じ悩みを持つ女性同士が活発に発言し合うことで、共感・共有を築いていく最大級の女性限定口コミサイト」とあります。サイトのキャッチフレーズは、「最強のママ友をもうひとり」という心強いメッセージです。 2000年に立ち上げられた当サイトですが、取材した2005年の段階で、会員40万人突破、蓄積クチコミデータ総数は720万件と、書籍に書いています。 アクティブ会員数は、481万人(2020年12月の媒体資料より)、サイト上に記載されている蓄積クチコミデータは、4500万件を超えています(当時)。つまり、会員数は12倍、クチコミ数は、6倍以上となっているのです。 これは、驚きどころではありません。 このサイトは女性たちの興味、関心、動向が手に取るように分析できるビッグデータプラットフォームに進化しているのです。 サイト内には、たくさんの細分化されたコミュニティが存在します。 「もうすぐママになる人の部屋」「高齢出産ママの部屋」「不登校児を持つママの部屋」「小学校低学年ママの部屋」など、子どもの年齢別から子育て、夫婦、教育、自分の健康からお金の話に至るまで、さまざまな意見を交換できるようになっています。 ウィメンズパーク内で実現する課題解決とニーズ発見 ベネッセコーポレーションは、ご存じのように本体は進研ゼミなどの通信教育をはじめとする教育、育児、シニア・介護の領域で事業を展開しています。特に育児雑誌との連携は大きいと言えるでしょう。 新しいママは常に誕生し、マタニティ雑誌「たまごクラブ」「ひよこクラブ」などの媒体、ウェブと連携して、次世代ママたちをつなぎ止め、彼女たちがぶつかっていくライフステージ上での課題をこのサイト内で、女性同士の過去データも含めて解決できます。 ウィメンズパーク内の膨大なクチコミと女性たちの共感、共有の動きは、現業への改善から新規事業に至るまで、さまざまなニーズの発見にもつながっているのです。 顧客の声に耳を傾けることの重要性 女性視点マーケティングは、巨大な会社を目指そうという話ではありません。 19年前に取材した企業の“今”を見ることができて幸せに思います。これらの企業は、顧客の声を大切にしてきたことはもちろんのこと、顧客と寄り添い、「共」に歩んでいることが見て取れます。 意見をタイムリーに吸い上げ、早くフィードバックするという、その繰り返しが信頼を勝ち得てきたのではないでしょうか。 それは、会社の規模にかかわらず、「顧客の声に耳を傾ける」ことにあります。 さらにその顧客の中でも、買物の8割を誰かのために消費する女性たち。自発的に、誰かに商品を配る購買行動を取る女性たちを味方にしない手はありません。 女性の「快」は、意見を聞いて寄り添い続けてくれること。 女性の「不」は、意見を聞かない、聞いてもフィードバックがない、寄り添い感がないこと。 次回は、さらにクチコミュニティについてさらに深く解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- クチコミュニティサイト事例と企業の成長(中編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.59 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第59回目は、消費者の多様なニーズや視点を理解し、それによって共感と信頼を築くことが、ブランドの成長にどのように役立つかを解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 企業の視点とは違う女性消費者の声を聞くことの価値 著書『ファンサイト・マーケティング』の読者からの書評(当時のアマゾンなどに書かれた)には、「大企業だからできること」「今さらコミュニティサイトは古いだろう」など厳しい意見もありました。しかし、古いか新しいかではなく、女性とつながっていくことの重要性を伝えたかったのです。 女性は複雑で多様です。 無印良品が出した海外旅行用のパスポート入れをママたちは、子どもたちの習い事の月謝分類袋として重宝するとクチコミし合い、購入が伸びました。彼女たちでなければならない、メーカーが考えた用途とは異なる視点を女性たちは教えてくれるのです。 「快」「不」は、女性たちに聞かなければわからないというシンプルなことを解決する方法として、ネットはとても有効です。SNSが普及した今、女性消費者の声をしっかりと聞き、それに応じて行動することがいかに重要であったかを、書籍を読み直して改めて確信しています。 当時取材したサイトの現在について、公式サイトから見える範囲で、数値情報の更新を含めて掲載したいと思います。 無印良品のネットコミュニティ「くらしの良品研究所」 の事例 「くらしの良品研究所」 https://www.muji.net/lab/ は、ますます活性化している無印良品の顧客と「共」に商品企画、改善をしていくサイトです。 今現在もサイト会員の意見で商品がどんどん改善されているのが見て取れます。 たとえば、スリッパの見直し、リュックの見直し、学習机の商品開発など、無印良品側からのプロジェクトの立ち上げだけでなく、顧客側から「おしゃれな爪磨きがほしいです」「三角コーナーの衛生が気になるので自立型のゴミ袋がほしい」などのリクエストがサイトではそのまま見えます。 そのリクエストに対して、「いいね」やコメントを受けつけ、その後、それらの意見を採用したら、「見直し中」「できました」など、どこまで進捗しているかがわかるようになっているのです。 顧客と共に歩む開発プロセスによる共感 「発売しました」と、商品販売ページがリンクされて紹介されると、サイトを見ているだけで、「やった!」という気分になります。すごいと思うのは、徹底して会員と常に「共」に開発をしている印象があることです。そして、そのプロセスを公開していることにあります。 一例として「スリッパの見直しプロジェクト」では、みんなのスリッパに対する使用場面や頻度、ニーズなどをアンケート調査し、その結果を公開。その後、スリッパの試作品を何度か用意し、サンプル品を会員にモニターとしてホームユースを依頼(テスト商品を送って利用してもらう)。その意見、感想など、すべてがサイトに公開されているのです。当時の取材では、会員は女性7割、男性3割と言われていました。 無印良品ファンは、商品のシンプルさなどだけでなく、こうした顧客と「共」に歩む姿勢にも共感するのでしょう。 次回は、進化し続けるベネッセコーポレーションの「ウィメンズパーク」の事例について解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- クチコミュニティサイト事例と企業の成長(前編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.58 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第58回目は、女性顧客とのかかわり方とその重要性について解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 女性消費者との深い絆が生み出す新たなビジネスモデル 2005年著書『ファンサイト・マーケティング』(ダイヤモンド社)を発表し、その中で「女性消費者と企業はもっとダイレクトにつながっていくことが重要だ」と書いています。 女性たちの消費行動を知れば知るほど、関わりの仕方によっては、女性たちは単なる「顧客」という関係を超えて、パートナーやアンバサダーといった存在に変わっていくことを見続けてきました。 パートナーやアンバサダーに変わると、購入はもちろんですがコミュニケーションの仕方によっては、どんどんロイヤルユーザーに変わり、自ら進んで情報発信をし、クチコミで布教してくれることが特徴的にあると気づいていました。 出版社の意向もあって、わかりやすく「ファンサイト」というタイトルになっていますが、私の中では、「クチコミュニティサイト」と同義語でした。 書籍のサブタイトルは、『企業のファンがネットの「クチコミ」で増えていく!』で、その帯には「企業と顧客がWin-Winになる」と書いています。当時から伝えたかったことは、女性消費者とは、手を取り合い、「共」に歩んでほしいというビジネスモデルでした。 クチコミをするアンバサダーが浸透し始めた2012年 掲載企業のほぼすべてを自分で取材に行きました。 当時はピンときていないマーケターも多かったですが、2012年頃にネスレがネスカフェアンバサダーという名称で、オフィス需要を拡大するためのCMを発信したことで、多くの人たちが「アンバサダー」という言葉を知ることになったように思います。 それまで弊社内には、アンバサダーという言葉はなく、私たちは「クチコミの種をまく人」というイメージで自発的にクチコミをしてくれる人たちを「シーダー」と呼んでいました。今はアンバサダーがもっとも伝わるでしょう。 顧客との関係性を気づき上げてきた企業のコミュニティ 2005年の発刊時に本書に掲載していた企業のコミュニティは、無印良品のネットコミュニティ(現在の「くらしの良品研究所」)、ベネッセコーポレーションのウィメンズパーク、アイスタイルの@cosme(アットコスメ)、そしてアマゾンジャパンなどです。そこに記載した企業がその後、成長していきました。 企業と消費者がつながることは、無印良品の例を見ても、単なるコミュニケーションという域を超えて、商品開発や改良改善まで、多くの役割をコミュニティにいる会員たちが担っています。長い時間をかけて、顧客との関係性を築き上げてきた企業には、頭が下がるし、これらの手法が間違いではなかったことを教えてくれます。 次回は、中編で、無印良品の「くらしの良品研究所」を事例を挙げながら女性消費者の声を聞くことの価値について解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 相互の情報交換で大きくなっていく女性のクチコミ
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.57 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第57回目は、コミュニティでの情報共有がいかに重要か、そしてそれがマーケティングに与える影響について解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 クチコミ行動を好む女性たち 女性は「クチコミ」を好みます。その理由には、集団行動を好むからということを本ブログでは伝えてきました。 私自身は、女性のクチコミ行動を「クチコミュニティ」と命名して、2002年に『クチコミュニティ・マーケティング』(朝日新聞社)を発刊し、ベストセラーとなりました。 この本は、その後、『図解 クチコミだけでお客様が100倍増えた!』(PHP出版)なども含めて、シリーズや文庫本化され、あれから19年も経つというのにずっと売れています。 今でも「あの本がバイブルです」「あの本を読んだ衝撃をよく覚えています」とお会いする方から言われることがあります。 先日もある商談中に、「あ、まさか、と思い出して本棚を探しました。この本だけは捨てられなくて。まさかこの本の著者ですか?」と感動され、うれしかったです。 悩みや課題を解決するための助け合いの「クチコミュニティ」 膨大に本が出る中で、記憶されていること自体がありがたいことですが、それだけ当時は、女性とクチコミについての書籍は、新しくセンセーショナルだったのでしょう。 私はその後、この「クチコミュニティ」を商標登録しました。 「クチ+コミュニティ」は、女性の類似したクラスターの場で、悩みや課題を持ち、解決するための助け合いをするというイメージです。 女性たちの行動と現象をまとめた本『クチコミュニティ・マーケティング』 今でこそSNSも当たり前となり、女性たちがコミュニケーションにSNSを使いますが、この『クチコミュニティ・マーケティング』という本を書いた時は、ブログを女性たちが好んで書きはじめた頃でした。 芸能人のブログを読む女性も急増しています。 「ネットはツールでしかなく、女性はそもそもクチコミが好き。昔なら井戸端、電話、手紙、ブログ、SNSと交信手段は変わっても女性のクチコミ好きは変わらない」という内容で、多くの女性たちの目の前の行動と現象を見てまとめた本でした。 クチコミで広がっていった女性コミュニティ 私は1990年に広島市で創業しました。その当時はインターネットもなく「女性活躍」といった言葉もない頃でした。女性たちが集う機会をつくろうと、マーケティング事業と同時に女性コミュニティを立ち上げました。 会員登録制で、女性向けのイベントやセミナー、勉強会、パーティなどを開催していました。最初の会員は、チラシや新聞広告などを使って約300人からスタートしたが、半年もしないうちに広告をしなくても1000人、2000人と増えていったのです。 その理由は、会員から友達へのクチコミでした。 女性は自分がよかった場に、友達を連れて行きます。それはあの頃も今も変わりません。 バズるという言葉でメディアに変わったクチコミ そして今ではネットによって当時の比較にならないほど多くの人に情報が届くことになったのです。さらに、「バズる」という言い方も広がり、クチコミは力を持ったメディアに変わりました。 当時の体験から、「女性のクチコミは、きちんと誠実に、感動と喜びを提供することに注力すればお客様が勝手に発信してくれる」と学んだのです。以来、このことは大切な考え方の柱にしています。女性は地域、友人・知人、趣味や習い事、そして職場のコミュニティというように複数のコミュニティに所属しています。 自分が「いい」と思う情報を持つと、すぐさま自分が所属するコミュニティのメンバーにも伝えます。 喜ばれることが好きで、同じ経験、体験をしてもらい、その気持ちを分かち合いたいという思いがあるからです。 「知り得たことは共有、共感したい」という情報伝達は、人助けとして本能に組み込まれています。 いい情報も悪い情報もすぐに周囲に伝えたい女性たち 女性は、「いい情報も悪い情報も早く周囲に伝えたい」と思い、うれしいこともつらいことも共有し合い、強い絆を築いていくのです。女性はライフイベントが増えるほど地縁などの儀礼的なコミュニティも増えていきます。 子ども会、PTA、義理の親や自分の親、子どもの習い事の先生、幼稚園や保育園の先生など、好むと好まざるとにかかわらず周囲との関係を築いて生きていきます。 ひとりの女性は、リアルな暮らしの中で、好むと好まざるとで実際に顔を合わせたつき合いをしながら、ネットを活用してコミュニケーションを行ない、関係維持をして暮らしているのです。 コロナ禍で女性たちがリアルな場でのコミュニケーションを失い、オンライン会議だけで会話をして過ごしていると、心がすさんでいく傾向が男性より多く見られたことがすでに報告されています。 女性たちには、コミュニケーションの場を大切に考えたマーケティングを行なっていきましょう。 女性の「快」は、コミュニティの中で生成される相互情報が得られること。 女性の「不」は、コミュニティがなく、孤立した状態、情報が入らないこと。 次回は、クチコミュニティサイトの事例をあげ、さらにクチコミについて解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- クラスターが「共感」する情報発信リーダーから着火するトレンド
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.56 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第56回目は、トレンドリーダーとのコラボレーションやメディア戦略が有効であることについて解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 同じクラスター内の女性トレンドリーダーの影響力 女性は「女縁」に影響されるという話を以前に書きましたが、時代がどんなに変わっても、女性のトレンドは、同じクラスター内で「共感」される情報発信リーダーたちからの影響を受けて話題になっていきます。 昭和や平成では、モデル、タレントが代表的だったが、30代、20代、10代と年齢が下がれば下がるほど、インスタグラマーやユーチューバーと、ネット上での発信力がある女性トレンドリーダーたちの存在が大きくなります。 世代別に見る女性トレンドリーダーとその影響力 たとえば、女子高校生が影響を受けているインフルエンサーランキングでは、マイナビティーンズで見ると(2020年10月)、1位は佐藤ノア、2位は莉子、3位はミチとなっています。3人ともモデルです。身につけるコスメ、ファッション、食、考え方など、すべてにおいて真似したくなるのです。 今の30代の女性たちがティーンズの頃に影響を受けたのは、アーティストの浜崎あゆみ、安室奈美恵などでしょう。 最近は、ローラや長谷川潤なども人気です。 40代の女性たちに影響を与えたモデルといえば梨花、蛯原友里、押切もえなどで、50代、60代なら富岡圭子、黒田知永子などではないでしょうか。 女性たちのトレンドを掴むには、その女性たちが影響を受けているこうしたトレンドリーダーの発信する商品はもちろんのこと、彼女たちのライフスタイルや価値観をつかみ取ることが重要です。 女性メディアは、ネットであっても、雑誌であっても「〇〇さんの暮らし方」「〇〇さんのキッチン」「〇〇さんの子育て」と〇〇さんが連呼されます。 そこに登場する〇〇さんの分野から、自社に関連する商品やサービス分野を専門としそうな人が発信する情報を意識していくと、トレンドが見えてきます。 働く独身女性向けマネーセミナーで考える発信方法 たとえば、保険会社が「働く独身女性のためのマネーセミナーを開きたい」と思えば、日経ウーマンなどの働く女性向けのメディアに取り上げてもらい、マネー企画のタイトルやムック本などの特集タイトルを真似てイベントタイトル、内容を組み立てるといいでしょう。 予算があれば、その層に近いペルソナが読むメディアに出てくる〇〇さん(トレンドリーダー)に、商品提供やアドバイスをお願いするのも有効的です。 フォロワーが多い人はポリシーもあるので、単なる商品の宣伝を投稿することは好みません。 ゆえに、開発から参加をお願いし、開発過程からSNSなどで発信するなどして、フォロワーに関心を持ってもらうのです。開発プロセスから見ているフォロワーは、自分も開発に参加している疑似体験の感覚になれるのです。発売時点では、当事者意識も生まれて即座に完売すると同時に、PRもしてくれるという相乗効果も生まれやすいでしょう。 女性にとっての「快」は、憧れの女性トレンドリーダーの暮らしに近づくこと。 女性にとっての「不」は、そこに自分の憧れの暮らしや生き方が見えないこと。 次回は、女性のクチコミについて解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性クラスター別に変わるトレンド分析(後編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.55 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第55回目は、クラスターごとの特性を理解することの重要性について詳しく解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 セブンイレブンが若い女性の心を掴むことに成功したポイント セブンイレブンとジェラートピケの組み合わせは驚きましたが、若い世代の女性を取り込む目的の企画であるのなら、着眼は成功したのではないでしょうか。 ここでのポイントは、「若い女性」「独身」「人気のブランド」「今年限定」という要素です。 ケーキひとつとっても、独身女性と子どものいる家庭では、選ぶデザイン、色、形、お酒などの素材に違いがあります。女性はクラスターによって選択基準が異なります。それは別のクラスターにとってはまったく興味のないことが多いのです。 女性ターゲットの多様性を実感したクライアント先の試食会 以前、クライアント先に訪問した時にたまたま、「女性社員を集めた商品開発のための試食会があるので参加しませんか」と声をかけられ、参加しました。 「簡単においしい揚げ物ができる調理粉」について容量とパッケージに対して意見を聞きたい、と女性社員20人ほどを集めて意見を聞いている場面だったのですが、開発担当者が商品の特性を説明し、「どの容量で販売したらいいか、目の前の3つから選んでください」「どのパッケージがお好きか、目の前の3つから選んでください」と聞きはじめました。 結果、容量もパッケージも選択はバラバラに割れました。 担当者が「女性の皆様に聞いても意味がなかったですかね」とつぶやいたので、私はびっくりしました。なぜなら、集まった20人は「女性」ではあるが、独身の20代もいれば、結婚している30代もいれば、子育てが終わった50代もいたからです。 女性のニーズは多様だからこそ重要なクラスターの選定 ある女性は「中学生の息子が2人いるから食事は奪い合い。食べ盛りには量が一番の決め手よ」と言ってましたし、20代の独身女性は「独り暮らしだから自宅で油を使いません。汚れるし。少量タイプに手をあげましたが、私自身は買わないと思います。もし買う場合は、最近は国産小麦にするようにしています」と言っていたのです。 つまり、単に「女性に聞いた」のでは意味がないどころか、大きな間違いを引き起こすのです。 下の図は、「家事」をクラスター内の特徴的なペルソナ別に捉えたケースです。 「時短消費」で考えるクラスター別の商品へのニーズ 「忙しい女性は家事に時短を望む」と、ひと言でくくりがちですが、ペルソナによって時短家事の捉え方がまったく異なります。 シングル女性にとっての時短消費の重きは「掃除(スティック掃除機)」。そして、コト消費は「買物(コンビニ・ネット)」で、求めることは新商品です。 働くママにとっての時短消費の重きは「洗濯」「買物(ネットスーパー)」「掃除(ロボット掃除機)」、「料理」は真ん中に位置します。 料理はできあいの惣菜などを活用しつつ時短にしますが、家族の健康や栄養を考えると母親の責任から後ろめたさがあります。そのため、ど真ん中に「料理」が位置するのです。 運動会や誕生日会などは日頃のできない後ろめたさを補うために、しっかりとつくりたいと考えて「コト消費」側にも位置します。 専業主婦は、時短消費は「掃除」で、ど真ん中には「買物(スーパー)」が位置します。家計を考えて安さが大事だからです。コト消費に「料理」があり、いかにお金をかけずに味も見た目も上手につくるかが腕の見せどころなのです。 こんな風に「時短消費」とひと言で言っても、買物、料理、掃除、洗濯などさまざまな内容があります。 クラスターによってその捉え方は大きく異なるため、商品づくりには、どの機能に重点を置き、どの機能を訴えて宣伝をするかは、どんなクラスターの課題を解決するためのモノかによって大きく異なることを知っておきましょう。 次回は、クラスターの共感する情報発信について解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 女性クラスター別に変わるトレンド分析(前編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.54 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第54回目は、女性のクラスターごとに異なる響くポイントとトレンド感について解説いたします。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 女性のクラスターごとに異なるトレンド感 女性はクラスターによって響くポイントがまったく違います。 どのクラスターを幸せにしたいのかを、しっかりと考える必要があります。合わせてそのクラスターにとっての、「今年らしい」「話題の」といったトレンド感を入れることも重要です。 男性の場合、最新モデルを好む傾向がありますが、女性の場合は、かならずしも最新モデルではなくても、「この時期だからコレ」とか「こんな気分には話題の」「コレ買いたかった。春だから桜色にしました」など、ある期間の悩みや不安を解消するモノに対して旬やトレンドなどのタイミングが加わるとほしくなるという傾向があります。 インスタ映えなどはまさにそうで、「フルーツパフェ」「かき氷」などのスイーツや、色鮮やかな景色の場所やファッションなどのことを「映え」といって写真に撮ってシェアをする行動がありますが、もともとの商品は、昔からあるモノや定番のモノだったりすることは多々あります。 また、社会環境の変化や状況によっても欲するニーズが変わるのです。 「コロナ禍で放置していた髪がパサパサになった」(社会環境と置かれていた状況)→「髪をサラサラにケアにできるドライヤーがほしい」(悩みや不満の解決商品)→「同時に肌がリフトアップできるドライヤーが今話題だからほしいな」(トレンド)といった感じです。 クラスター内の調和を保つための選択 女性は、同じクラスター集団からはみ出さないために消費するというモノも存在します。 「群」から出ないための消費というイメージです。 たとえば、春の入学式シーズンに、小学生ママたちの間では「式典で浮かない服」という言葉が出ることがあります。「浮かない服」とは、その場にふさわしい服という意味です。 そしてそんな中にも「今年らしい色」や「今年らしい形」というのがあるのです。女性にとってのトレンドとは、「クラスター内で評価・目的に応える・今どき感」をつかむことを言います。 たとえば、冠婚葬祭の服ひとつをとっても、男性であればスーツ、ネクタイ、シャツなどの基本的な準備で終わります。しかし、女性の場合は、ヘアスタイル、ヘアアクセサリー、メイクの色、リップの濃さ、ネイルの色や光、ストッキングの色、バッグの形と大きさ、指輪のデザイン、靴の色や形など、トータルに組み合わせ力が必要となるのです。 女性は、その場にふさわしいコーディネートが求められるのです。ご祝儀袋ひとつを選ぶのにも、相手のイメージから、現代的デザインか、豪華な花がついているのか、主役の女性が好きな色を選ぶかなど、相手を考えて祝儀袋を選ぶことも意識します。 それが自分の評価にもなるからです。 クリスマスケーキの事例から見るクラスターごとのトレンドの違い 2020年のクリスマス時に、弊社の独身30代の女性スタッフが、「今年のインスタでちょっと気づいたのですが、やたらに真っ白でおしゃれなケーキをあげる人が増えています。その写真をあげている人は、みんな独身女子と思われます。赤いイチゴやフルーツ、動物がのっていたりする色鮮やかなケーキの写真は、みんなママです」と言っていました。 その真っ白のケーキを調べたところ、なんとコンビニのセブンイレブンが、若い女性に人気のルームウェアブランドのジェラート ピケとコラボレーションしたクリスマスケーキでした。 次回も引き続き、クリスマスケーキの事例を挙げながら、クラスターごとに変わるトレンド感について解説します。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 母親クラスターへのマーケティングは大変さを認めること
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.53 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第53回目は、母親クラスターへのマーケティングで重要な理解と共感について詳しく解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 母親クラスターのストレスを認識し認めることが第一歩 母親クラスターのマーケティングで大切なのは、彼女たちのストレスをきちんと認める姿勢です。 「大変だね」「大丈夫?」と声をかけられるだけでも気持ちが楽になることがあります。 妻「ちょっと朝からお腹が痛くて」夫「病院行けば」と言ってしまうだけで、妻が不機嫌になることがあります。夫からすればもっとも最適なアドバイスをしているつもりですが、妻からすれば「まずは、『大丈夫?』とか、相手に気遣いの声ぐらいはかけられないの? 冷たい人」となってしまうことがあります。 常にストレスを持つ母親クラスター 母親クラスターは、常にストレスを持つ日々があります。 自分のことだけではなく、さまざまなことに対処しなければなりません。 そのストレスを緩和させるための選択と行動をします。そのストレスを認めてくれていないと感じる夫の言葉にはイラついてしまうのです。 企業のCMやツイッターの発信などにも敏感で、不快感を持つと不買運動さながらの行動も出やすいです。同じ母親たちに、不快情報を知らせることで、気持ちに抱えた不快感を早く吐き出したいと思うし、自分が感じた不快感を同じ状況の友達には感じさせたくない、と思ってしまうからです。 おせっかいと助け合いをすぐさま行動に移します。 共感を狙う必要がある母親クラスターへのマーケティング CMでは、母親クラスターが見て共通項を感じる女優を起用することのほうが共感を持ちます。自分たちとほど遠い、または環境がまったく違う女優を起用して、母親向けをアピールをしようとしても興味を持たれません。 「子どもがいないからできるのよね」「わかってないわ」となるし、そもそも別世界に関心を持つほど暇ではないからです。あからさまにシャッターを下ろします。 最も大切な母親クラスターへの理解 母親クラスターにとってもっとも大切なことは、その苦労や大変さをわかってほしいことです。 理解者がほしい、認めてほしいのです。その気持ちに響くメッセージや言葉の投げ方が商品を売ることよりも先です。母親クラスターは、女性消費者の中の最大最強パワーであるにもかかわらず、マーケティングの世界からは遠い存在になりがちです。 母親クラスターに向けた商品やサービスの開発には、同じ状態にあるモニターや女性社員を介在させることが鉄板中の鉄板です。 母親クラスターの視点は、消費者の中でもっとも厳しい目を持ちます。商品がよくても手触りが違う、手触りがよくても重さが違う、重さがよくても色が違う、色がよくてもCMが違う、などです。母親クラスターのマーケティングは、プロセスの最初から最後までに一貫して母親視点を入れることです。 母親たちを介在させないでつくる商品やサービスは、たったひとつの障壁によって売れないなどのつまずきが起こります。 母親クラスターの「快」は、わかってくれていると思えること。 母親クラスターの「不」は、わかってくれていないと思えること。 次回は、クラスターによって変わるトレンドへの理解について解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。
- 格別の消費パワー行動を持つ母親クラスター(後編)
市場の8割を左右する女性視点マーケティング詳解vol.52 女性視点マーケティングの第一人者であり、株式会社HERSTORYの代表取締役でもある日野佳恵子による、本連載。第52回目は、母親クラスターの状況と心の支えについて解説します。 HERSTORYは、女性視点マーケティングを専門に事業を展開しています。この連載記事では、「女性視点マーケティング」の重要性に焦点を当て、具体的な事例を交えてわかりやすく解説していきます。皆様のビジネスに新たな視点やアイデアを提供し、今後の展開に役立てていただける内容となっています。ぜひ、ご活用ください。 母親クラスターの知恵が詰まったママバックの役割 母親クラスターの買物は実に多岐にわたります。たとえば、ベビーカーを押しているママを見てみましょう。 子どもを乗せているだけではなく、いくつもの大きなバッグをそこにかけていて、シートの下のカゴにも荷物を積んでいます。通称ママバッグと言われる大きなバッグには、ミルク、お湯、ジュース、お菓子、タオル、気を散らすおもちゃ、ティッシュ、おむつ、着替え、よだれかけ、上着、おしり拭き、薬などです。そして自分用の飲み物、今夜の晩御飯の買物など、すさまじい持ち物の点数です。 パパも子どもを抱っこし、ベビーカーを押している姿はよく見ますが、ぶら下がっているバッグの中身を準備しているのはママでしょう。ママ専門の雑誌やメディアは、ママたちの知恵の共有で溢れています。 常に子供の状況管理をしているママクラスター 1週間のスケジュール表が記事で掲載され、1日をどんな風に上手にやりくりしているかという事例のオンパレードです。 たとえば乳幼児を持つ働いているママの日常です。 幼稚園の送迎はパパママが連携していても、園との連絡、準備や用意物、先生への謝恩、園行事、ママ友たちとの情報交換や関係維持、日々の病気や病院通い、予防注射など、ありとあらゆる子どもの状態管理を意識しています。 仕事で第一線にいる立場の場合、大事なことを忘れたり慌てたりで、自分の至らなさに悩み苦しみつつで過ごしていきます。パパが「手伝うよ」と協力的であっても、「手伝う」という言葉にイラついてしまうことがあるのは、子育ては共同作業であるべきと思っているからです。 主夫を好む男性も増えてきましたが、日々の生活の細々とした目に見えにくい家事作業に気づいてしまうのが女性です。 『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(梅田悟司著 サンマーク出版)、『夫が知らない家事リスト』(野々村友紀子著 双葉社)など、家事育児に関するこんなタイトルの本も増えてきました。 母親クラスターは、圧倒的な情報量を同じママネットワークで集めます。膨大なアイテムを購入、管理しているのです。日々をタイムマネジメントし、自分、子ども、家族、周囲との関わりを取りまわしています。 母親クラスターが理解されることで得られる心の支え ある時、弊社のママ社員が「夜泣きで子どもが夜中に泣いても、夫はまったく起きません。どうやって泣き止ませることができるのかわからない時は、ツイッターで同じ月齢児を持つママをハッシュタグで探して情報を得ていました。何度SNSで救われたかわかりません」と言ってしました。 母親クラスターにとって理解されることは大きな支えになります。 母親クラスターの「快」は、悩みが共有される環境。 母親クラスターの「不」は、悩みが共有されない環境。 次回は、母親クラスターへのマーケティングについて解説していきます。 下記よりメールマガジンの登録をいただくと、次号の更新をお知らせいたします。ご登録のうえ、配信を楽しみにお待ちください。 日野佳恵子 株式会社HERSTORY(ハー・ストーリィ)代表取締役 1990年創業 タウン誌の編集長、広告代理店のプランナーを経て、結婚、出産を機に専業主婦を経験。女性のクチコミ力、井戸端好きに強い衝撃を覚え、広告よりクチコミのパワーが購買に影響を及ぼしていることを確認。一貫して男女の購買行動の違いに着目したマーケティングを実践し、女性客マーケティングという独自分野を確立。多数のコミュニティや実店舗を自ら運営。10万人の生声、3万件に及ぶアンケート分析、5万人以上の男女購買行動を研究。 【著書】 「クチコミュニティ・マーケティング」 「女性たちのウェルビーイング」 「女性たちが見ている10年後の消費社会」等ベストセラー多数。 →著書は一覧こちら 女性視点マーケティングについてさらに詳しく知りたい プロジェクトのご相談 弊社サービスへのご質問 上記については無料相談を受けています。下記よりお気軽にご相談ください。